NECの取り組みから探る「ユーザー企業がDXを成功に導く3つの要件」
ITmedia エンタープライズ / 2024年6月3日 16時34分
その変化を表した図3では「System Value Driver」と表記されているが、これはSIerと対比させた形で見せているからだろう。システムのほかにサービスも対象となることから、同社としてはValue Driverという言葉を前面に出していく構えのようだ。
DXの進展に伴い、SIerは自らを「ITサービス事業者」と呼ぶケースが増えているが、単に事業者として分類しただけのイメージが拭えない。主力事業はSIerと変わらないのにユーザーのDXパートナーになれるのかという議論は今も続いている。2022年7月4日掲載の本連載記事「“日本の”ITサービスベンダーをパートナーに選んで大丈夫?――NEC社長に聞いてみた」で、タイトル通り森田氏にその点をズバリ聞いてみたところ、同氏はNEC Digital Platformの意義を強調していた。今回のBluStellarおよびValue Driverは、その進化形の話である。
ちなみに、BluStellarの名称の由来は、イタリア語の「Blu」(「青」の意味)と「Stella」(「星」の意味)からなる。青い星は一般に「シリウス」を指す。これをして、「NECはValue Driverとして夜空で最も明るく輝く星のように、人々と社会が進むべき目印となる星になる」との想いを込めたとしている。また、語末に「r」をつけることで、さらに強く、主役のような意味合いを付け足しているとのことだ。
●BluStellarはDX推進ユーザーにとって映し鏡に
吉崎氏は新ブランドであるBluStellarの重点戦略について次の3つを挙げ、その内容を以下のように説明した。
1つ目は、「AIをフル活用したビジネスプロセス変革」だ。構想策定からサービスデリバリー、運用・保守まで、全てのプロセスにAIを活用することで、従来型のSIから進化し、顧客価値の最大化を図る。コンサルティングサービスにおいては、データサイエンスの知見を活用して顧客の構想策定を実施するAIコンサルタント約100人を配備して戦略コンサルタントを強化するとともに、経営アジェンダの解決にデータサイエンスを融合させることで、スピーディーな実装を目指す。また、AI活用によるプロセスの高度化は、デリバリースピードと生産性を高め、顧客への迅速な価値提供を実現する(図4)。
2つ目は、「AIとセキュリティをキーとした先端テクノロジーの集約」だ。NECは業務プロセスの変革を実現するAIと安全・安心な社会基盤の運用に欠かせないセキュリティをキーテクノロジーと捉え、125年の歴史で培われた先端テクノロジーをBluStellarに集約し、高度なサービスへと変換して顧客に提供する。研究開発とビジネスの連携を強化することで、市場投入スピードを加速する(図5)。
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