NECの取り組みから探る「ユーザー企業がDXを成功に導く3つの要件」
ITmedia エンタープライズ / 2024年6月3日 16時34分
3つ目は、「オープンなエコシステムによる共創」だ。共創を通じた新たな市場価値創出に向けて、グローバルハイパースケーラーとの戦略協業や共創パートナープログラムなど、約400社のパートナーとビジネスを強化・拡大する。グローバルハイパースケーラーとの戦略協業においては、2025年に向けて社内にDX人材を1万2000人とすることを目指し、さらに人材を育成する。社内ノウハウを基にしたDX人材育成プログラムを提供する約420社、約3万人以上の顧客とともにデジタル浸透を進める(図6、図7)。
その上で、吉崎氏は「当社は2019年にDX専任組織を立ち上げ、他社に先駆けてDXオファリングを提供開始した。その後、戦略コンサルティングのアプローチやグローバルアライアンスを推進するとともに、NEC Digital PlatformやDXを推進する全社横断組織を整備してきた。BluStellarはそうしたこれまでの当社のDXに向けた取り組みの集大成をブランド化し、新たなステージへと前進する決意を示したものだ」と力を込めた。
「集大成」という言葉が気になった筆者は会見の質疑応答で、「BluStellarにおいて拡充すべき点はもうないのか。あるとしたら何か」と聞いた。これに対し、森田氏は次のように答えた。
「フレームワークは出来上がったが、中身の進め方としてどうメリハリをつけていくかがこれからのポイントだ。その大きな要素となるのはスピード感だ。グローバルで競争力のあるテクノロジーをしっかりと育てる一方で、オープンなエコシステムにおいてそれぞれの強みを生かしたパートナー連携がこれから非常に大事になる。その意味では競合他社とも共存できるし、競合がパートナーになるかもしれない。DX市場はそれだけ大きいということだ」
この森田氏のコメントはベンダーにとどまらず、DXに取り組むユーザーにも当てはまるだろう。
最後に、今回の話から、企業(ユーザー)がDXを成功に導く要件を3つ挙げたい。
1つ目は、AIをフル活用したビジネスプロセス変革だ。BluStellarの重点戦略の1つ目に挙がっていたもので、今後の経営改革においてこの取り組みが最も効果的なのではないか。
2つ目は、オープンなエコシステムによる共創だ。これもBluStellarの重点戦略の3つ目に挙がっていたもので、企業は今後、社内のDXにとどまらず、自らのビジネスにおいてもDXを進める必要に迫られることを見越しての取り組みだ。自らの将来像をどれだけ想像できているかが問われることになる。
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