AmazonのCTO「AIが機能したら誰も『AI』と呼ばなくなる」 その真意を考察
ITmedia エンタープライズ / 2024年6月24日 17時0分
そして、時を経て1940年代、そうした機械の原型となるコンピュータが誕生した。それとともに、「人間の脳をエミュレーション(模倣)する」というテクノロジーが本格的に研究開発されるようになった。その時に「機械は考えることができるのか? という問いに真剣に取り組もうではないか」と呼びかけたのが、数学者であり哲学者でもあるアラン・チューリング氏で、それを判定するための「チューリングテスト」を1950年に発案した(図3)。
そうした経緯の下、1956年に米国ダートマス大学でスタートしたプロジェクトにこの分野のオピニオンが集まり、そこで正式にAIという言葉が使われるようになった。ボーガス氏によると、集まったオピニオンリーダーの中心は哲学者だったそうだ。
●AIの進展は「マラソンだと3歩踏み出したところ」
その後、AIの研究開発は進んだが、当時のAIは、脳からの指令に基づいて動くという、いわば「トップダウン」の仕組みだった。それが進展して1970年代から80年代にかけてAIの代表的な存在となったのが、「エキスパートシステム」だ。このシステムはその名の通り、人間のエキスパート(専門家)の意思決定能力をエミュレーションするものだ。
ボーガス氏は80年代、テクノロジストとしてエキスパートシステムの構築に携わったそうだ。ちなみに筆者もこの時代、日本でエキスパートシステムの実現に注力していた通商産業省(現・経済産業省)の「第五世代コンピュータプロジェクト」を、駆け出しの記者ながら懸命に取材した。AIの研究開発で世界に後れを取りたくないという日本の意気込みを覚えている。
エキスパートシステムへの期待は大きかったが、結論からいうと商用として広がることはなかった。当時の日本での取材で「プロジェクトとして大きな成果は上げられなかったが、システムを構成するためのさまざまなテクノロジーを蓄積できたので、これからのAI研究開発に生かしたい」と語っていたプロジェクトメンバーの悔しそうな表情を思い出した。
ボーガス氏は一方で、「この時期からAIにつながるテクノロジーとして大きく進展したのが、ロボット工学だ。エキスパートシステムがトップダウンのアプローチなのに対し、ロボット工学はボトムアップのアプローチとも見て取れる」と話す。
これは一体どういうことか。「そのキーテクノロジーは、センサーだ。人間の視覚や聴覚などの感覚をセンサーとしてエミュレーションすることによって、自律した自動化機械を実現しようというものだ」と説いた。
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