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AmazonのCTO「AIが機能したら誰も『AI』と呼ばなくなる」 その真意を考察

ITmedia エンタープライズ / 2024年6月24日 17時0分

 それを具現化したものとして、同氏はすでに多くの物流センターや工場などで使用されている無人搬送車を挙げた。「無人搬送車のコントロールはセンサーをベースとした認識技術によって自律的に行われている。(グローバルでEコマース事業を展開するために)世界75カ所に(巨大な物流拠点の)フルフィルメントセンターを設けている当社は、それぞれのセンターで3000台ほどの無人搬送車を使っている。これらはまさしくフル稼働しているロボットだが、誰もAIとは見ていない」とのことだ(図4)。

 そして、AIにおいて次に大きな変革をもたらしたのが、基本となるソフトウェアだ。深層学習や強化学習、教師なし学習、トランスフォーマーといったテクノロジーが生まれ、トランスフォーマーから、今の生成AIの基盤となるLLM(大規模言語モデル)が誕生した。ボーガス氏は、「LLMおよび生成AIが今後のAI活用を一層促進することは間違いないが、AIの進展をマラソンに例えると、まだ3歩踏み出したところに過ぎない」との見解を示した。「マラソンにおける3歩」とは、つまり動き始めたところということだ(図5)。

 では、これから私たちはAIをどう捉えて使っていけばよいのか。この点について、ボーガン氏は次のように話した。

 「私はAIに関わるテクノロジストとして、私たちが今抱えている大きな課題を解消できるようなAIを提供する責任があると考えている。国連によると、世界の人口は現在の80億人から2050年には97億人に増加する見通しだ。増加する17億人の食糧を確保し提供していけるのか。ヘルスケアを提供していけるのか。つまりは持続的な未来を全ての人たちに提供していけるのか。そうして取り組むテーマについては、国連が掲げているSDGs(持続可能な開発目標)の17目標が指針になるだろう」(図6)

 私たちが今抱えている大きな課題としては、気候変動を含めた環境問題、そして戦争も含めた国際問題などが挙げられるだろう。日本をはじめとする先進国では、少子高齢化問題も大きなテーマだ。

 そこで、冒頭で紹介した「AIが機能し始めたら、もはや誰もAIと呼ばなくなるだろう」という言葉に戻ると、これはむしろ「AIをしっかり機能させて、誰もAIを意識しないようにすべし」と捉えるべきではないか。そして、AIによって私たちが目指すべきは「サステナブルな社会を実現する」ことだと。

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