日本IBM、三菱UFJ銀行、IIJ共同の取り組みから考察 今後の「金融システム」はどうあるべきか?
ITmedia エンタープライズ / 2024年10月8日 7時30分
その進化した形として、図1の上に記したのが図2だ。
ビジネスサービスにおいて、基幹系は三菱UFJ銀行(表記上はMUFG=三菱UFJフィナンシャル・グループ)が提供するメインフレーム共同プラットフォーム、基幹分散系はIIJが提供する分散基盤共同プラットフォームが担う。デジタルサービスにおけるIBMの「金融サービス向けデジタルサービスプラットフォーム(DSP)」、さらにネットワークにおいてこれらのプラットフォームを接続するIIJの「地銀共同化プライベートネットワーク・バックボーン」を新たに加え、「金融ハイブリッドクラウド・プラットフォーム」と名付けた。
これが新共同プラットフォームであるのは、とりわけ図1のビジネスサービスに記されている「共同化グループごとのシステム」を三菱UFJ銀行とIIJを組み合わせたプラットフォームに統合できることから、すなわち「共同化の共同化」を実現できるためだ。
●金融ハイブリッドクラウド・プラットフォームとは何か
山口氏は、今回発表した金融ハイブリッドクラウド・プラットフォームが出てきた背景や考え方について、金融システムを支えるインフラストラクチャに関連した図を4つ示した。いずれも縦軸にはシステムの種類、横軸にはビジネスサービスにおけるオンプレミス、デジタルサービスにおけるクラウドを位置付けたもので、同氏は「システムはこれまでこの4象限を対象として作られてきている」と述べた。
まず、図3はそれぞれの象限におけるインフラの名称と業務特性を記したものだ。
この図を示しながら、同氏は「われわれはこれまで、メインフレームと分散システムのどちらがよいか、オンプレミスとクラウドのどちらがよいかといったシステム形態の議論ばかりしてきたのではないか。実は、システムを選ぶ際はそれよりもそれぞれの業務特性に目を向けるべきではないか」と問題提起した。
図4は、その問題提起に伴って、それぞれの象限において優位性のある業務特性を記したものだ。
オンプレミスのメインフレームには「高性能、安全性、安定性」、分散システムには「安定性、経済合理性」、それに対してクラウドは「柔軟性、迅速性」といった業務特性が記されている。
同氏は「初めにシステムありきではなく、業務特性に応じてどんなシステムを動かせば良いかをデザインしながら全体の仕組みを作ることが、将来に向けてシステムをサステナブルに成長させるために極めて重要な考え方ではないか。図4の中央に『適材適所のシステム利用』と記したのは、それを表現したものだ」と説明した。
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