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日本IBM、三菱UFJ銀行、IIJ共同の取り組みから考察 今後の「金融システム」はどうあるべきか?

ITmedia エンタープライズ / 2024年10月8日 7時30分

 そして今回、業務特性に応じて適材適所でシステムを利用できるようにしたのが、図5に示した形だ。

 ビジネスサービスにおけるオンプレミスを共同利用の形にし、前述したように「共同化の共同化」を図ったことで、メインフレームのところにメインフレーム共同プラットフォーム、分散システムのところに分散基盤共同プラットフォーム、そしてクラウドでは例えば「業界クラウドプラットフォーム」を活用することで、金融ハイブリッドクラウド・プラットフォームが実現するわけだ。

 図6は、図5における各種プラットフォームの提供元を記したものだ。ちなみに、クラウド利用のDSPはIBMが提供するサービスだが、そのインフラは各種パブリッククラウドサービスを適用する形となっている。

 山口氏は図6を示した上で、冒頭で紹介したコメントにあるように、ユーザーから見て、中身がどんな仕組みであれ、一つの金融システムとして利用できる環境を提供したいと強調した。これがまさしく、金融ハイブリッドクラウド・プラットフォームだ。

 さらに、同氏は説明の最後に、「金融システムの在るべき姿としてようやくここまで来た。これはまだ進化の第一歩だ。業務特性に応じてオンプレミスとクラウドをデザインするアプローチは今後、世の中にある業務システムに幅広く適用できる可能性がある」と語った。

 筆者はこの発言を、今回発表したハイブリッドクラウド・プラットフォームの仕組みが金融にとどまらず、他業種の基幹系をはじめとした業務システムに幅広く適用する考えがあるものと推察している。

 最後に筆者なりの受け止め方を述べておくと、上記の金融ハイブリッドクラウド・プラットフォームは、業務特性に応じてシステムをデザインするアプローチについては賛同するものの、やはりメインフレームを提供するIBMの論理に基づいているという印象が否めない。素朴な疑問を言えば、ビジネスサービスはクラウドの方が経済合理性で優位なケースが多いのではないか。また、業務ごとのコストパフォーマンスで見るとどうなのか。さらに言えば、これからはビジネスサービスの多くがデジタルサービス化するのではないか。

 加えて、「これからはハイブリッドクラウドが主流」とよく言われるが、それは当然のことだ。世の中の全てのシステムがクラウドサービスになることはあり得ない。とは言え、注目すべきはオンプレミスとクラウドサービスを併用するハイブリッドクラウドの中で、クラウドサービスの割合がどれくらいになるかだ。

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