「モバイルSuica」で東海道新幹線やTOICAエリアをまたぐ定期券を買えないのはなぜ? JR東日本に聞く
ITmedia Mobile / 2024年4月23日 15時5分
(※2)JR東日本の駅ではSuica、私鉄の駅ではPASMO、JR東海の駅ではTOICAで購入できます。ただし、路線や経路によっては特定の会社でのみ販売する(ICカードの種類が制限される)ことがあります
モバイルICOCAでは買えるのに、モバイルSuicaではなぜエリアまたぎの定期券を買えないのか――JR東日本に聞いてみましょう。
―― JR西日本のモバイルICOCAでは、JR東海(TOICA)エリアやJR九州(SUGOCA)エリアにまたがる定期券を購入できますが、モバイルSuicaではJR東海エリアにまたぐ定期券を購入できません。モバイルICOCAではできるのに、なぜモバイルSuicaではできないのでしょうか。
JR東日本 モバイルSuicaには、モバイルICOCAとは異なった技術面やサービス面の課題整理が必要となります。またモバイルSuicaで発売するエリアや券種などは、お客さまのご利用状況等を鑑みて設定を行っており、現在のところ対応する予定はございません。
異なる鉄道事業者への「連絡運輸」とは異なり、JRグループの他社をまたぐきっぷは、企画乗車券の一部を除いて運賃を“通算”します(一部会社にまたがる場合は加算運賃を上乗せします)。そのため、同じ距離(運賃)のきっぷでも、JRグループをまたいで乗車すると会社間で運賃の案分が発生します。
一方で、現行の交通系ICカードでは運賃の計算を改札機にあるデータベースで行っています。エリアまたぎの乗車を実現するには、改札機のデータベースに他のエリアの運賃テーブルを追加すればいいのですが、データベースの容量が大きくなりすぎるという問題と、運賃改定や駅の開業/廃止があった場合に駅単位でデータベースを更新しなければならないという問題があります。
加えて、交通系ICカードはきっぷとは異なり「出場(駅から出る)際に運賃を収受する」ことになるため、乗車した経路を特定できない場合があります。乗車経路により運賃が変わる場合、「交通系ICカードで乗車した場合は、最安となる経路で乗車したとみなす」という特例を設ければ解決できますが、経路が特定できないがゆえに運賃案分に関する会社間交渉が困難を極める可能性もあります。
恐らく、モバイルSuicaがTOICAエリアにまたぐ定期券に対応しなかったのは、上記に関わる調整を行う時間やコストと、想定される利用者数のバランスが取れないことが原因と思われます。理解はできるのですが、「モバイルICOCAはできるのにどうして?」「Suicaカードなら買えるのになぜ?」という思いはやはり拭いきれません。
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