1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. モバイル・アプリ

米国生まれの「ヨシノパワー」が“固体電池”のポータブル電源に注力する理由

ITmedia Mobile / 2024年6月27日 16時5分

●固体電池のメリットとデメリット

―― ポータブル電源に使われている電池に話を戻しましょう。ヨシノパワーが取りそろえてるレンジにおいて、他社ではリン酸鉄リチウムイオン電池を使った製品が多いという認識です。同じ容量で比べると、例えば240Wh前後の製品なら他社が3万円前後で買えるところ、御社の製品は4万2000円ほどです。思った以上に価格差がありますが、この点はどうお考えでしょうか。

桜田社長 価格は、当社製品における一番の弱点だと認識しています。当面の間は、先述した固体電池の特性や強みをお客さまに訴求し、価格差が生じる理由を理解していただいた上で購入していただこうとも考えています。

 ヨシノパワーのポータブル電源を購入頂いているお客さまのうち、おおむね7割は固体電池のメリットを理解した上で、高くても購入していただいているという認識です。

 ただし、販売数が増えれば、規模の経済で固体電池の調達価格を抑えられるはずです。それは製品の価格を押し下げる効果もあるので、今後は手頃な価格を実現することにもチャレンジしていきたいと思います。

―― 今回、インタビューをしようと考えたきっかけは、御社のポータブル電源が「固体電池を採用している」と知ったことでした。少し失礼かもしれませんが、日本の自動車メーカーですらまだ採用していない固体電池を「本当に使っているのか?」と疑問に思ってしまったのです。そもそも、固体電池はどのような技術に基づく充電池なのでしょうか。

桜田社長 液体やゲルを使わない「全固体電池」について、正直なところ現在は業界でも明確な定義がないという認識です。一応、電解液の割合が5%以下の電池を「全固体電池」と呼ぶことが多いですが、定義が変わったら問題なので当社では単に「固体電池」と呼んでいます。

 「電解液の割合が5%以下の電池」という観点では、当社のポータブル電源が採用する固体電池は定義を満たしています。詳細は企業秘密ですが、充電池の電解質のほとんどが固体で構成されています。

●固体電池は“日本発祥”の技術

―― こういった固体電池を採用できたのは、先ほど出てきたYoshino Technologyの兄弟会社の技術力によるのでしょうか。

桜田社長 (Yoshino Technologyの)兄弟会社は、固体電池の領域では一番進んでいる会社だと思っています。

 固体電池に関する技術を俯瞰(ふかん)すると、全体的には中国の企業が最先端です。技術面はもちろん、原材料の調達力でも強いです。技術力はさておき、日本の企業が同じコストで作れるかというと、現状では難しいのではないでしょうか。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください