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防水スマホの等級「IP68」を過信してはいけない理由 あなたのスマホは大丈夫?

ITmedia Mobile / 2024年9月15日 10時5分

 続いて、IP等級の第2数字の「7」と「8」について解説する。IPX7は「既定の圧力、時間で水中に沈めても動作に支障のないこと」という意味で使われる。前述までの噴水流ではなく「水没」の試験となるため、他の防水性能を示す数字とは試験内容が異なるのだ。

 IPX8は防水を示す最上位の等級を示すものとされているが、厳密な試験方法がIP規格としては明記されていない。テスト方法には「IPX7以上かつ、メーカーと機器の使用者間の取り決め」としかなく、同じIPX8等級を取得していてもその性能はメーカーや機種によって差がある。

 多くの場合、IPX8は「水中で使用できる」「IPX7よりも深い場所に沈めても動作の支障がない」といった旨でテストし、取得しているものが多いとされている。

●IP68は「IP65の上位互換」ではない理由

 ここまで、IP等級の数字によって試験項目が異なることを説明した。一般にIPX8の水没試験をクリアしていれば、水を吹きかける噴水試験も合わせてクリアできるのではないかと思われる。このため、IP65よりもIP68の方が「高性能」「上位互換」と思われるが、両者は試験方法が異なるので必ずしもそうではない。

 IP65は完全な防塵性能を持ち、IPX5等級の噴流水に耐えられる意味となる。もちろん、IPX7や8等級を有していないため水没の耐性は保証できない。 一方で、IP68は防塵構造とIPX8に示すIPX7に示す水没試験+端末メーカーの要求する防水性能を備えていることを意味する。製品にこれしか明記されない場合、IPX6までの数字に示す「噴流水についての耐性」は保証できない。数字が大きいからといって、IP65の上位互換ではないのだ。表記は以下のような意味となる。

・IP65→ 完全な防塵構造を備え、かつ噴水流に耐える防水構造を持つ(水没に対する耐性は保証できない)

・IP68→完全な防塵構造を備え、かつ水没に耐える防水構造をもつ(噴水流に対する耐性は保証できない)

・IP6X IPX5/IPX8→ 完全な防塵構造を備え、かつ噴水流と水没に耐える防水構造を持つ

 IP65に対し、IP68はIPX6までの噴水流の耐性を明記していないため「上位互換」ではないのだ。われわれが日常的に思い浮かべる防水性能は「IPX5/IPX8」といった表記がされていなければ、期待する性能を持ち合わせていない可能性がある。仮にIPX8しか有さない場合、日常では降雨が直接本体に当たる、本体に直接シャワーを当てるといった場面で使用した場合の正常な動作は保証できない。

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