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防水スマホの等級「IP68」を過信してはいけない理由 あなたのスマホは大丈夫?

ITmedia Mobile / 2024年9月15日 10時5分

 IP規格以外では、強靭さを表す指標としてMIL-STD-810H(米国国防総省の調達基準)やIPX9(IPX9K)を用いるスマートフォンも存在する。

 MIL-STD-810Hは28項目あり、末尾の「H」は改定されたことを意味する。1つ前の規定ではMIL-STD 810-Gとなる。一般にスマートフォンでは必要な部分のみ取得しているものが大半だ。タフネススマートフォンとして著名な京セラの「TORQUE G06」も21項目を取得している。確かに、日本で販売するスマートフォンに519.8に示す「砲撃衝撃試験」は必要ないだろう

 MIL-STD-810Hで防水に関連する部分は「風雨」「雨滴」「浸漬」「湿度」「塩水噴霧」「氷結・融解」「氷・低温雨」の項目がある。いずれもIP規格とは異なる試験方法なので、同列に比較することはできない。

 IPX9は厳密にはIP規格での規定ではなく、ドイツ工業規格DIN400 50 PART9で定められた「スチームジェット噴水流」に耐えうる規格だ。拡張で「K」の記載があるものはISO 20653規格に準じている。それぞれ噴射する水量やノズルの径などが異なるため、IPX9とは「完全に同一の規格」ではない。

 こちらは水温80度の高圧噴水流を一定時間、旋回する対象物に複数角度から噴射し、問題なく動作することを示す。主に自動車の電装部品などを対象にした試験で、IPX6よりも高圧かつ量も多い温水を噴射する。そのため、製品によってはIPX6の上位互換として用いられることがある。

 いずれの規格もIP規格と同時に取得していることが大半で、IP規格に示す防水、防塵性能を補完したり、より強化したりする意味で用いられている。それ以外では、これらの規格の範囲に入らない独自の試験を行うものもある。

 例えばFCNTの「arrows We 2 Plus」はIPX5/IPX8等級の防水、IP6Xの防塵性能に加え、MIL-STD-810H(23項目)を取得。これに耐薬品試験(ハンドソープ、アルコール消毒)や高湿度環境試験(浴室での使用を想定)を独自に行っており、付加価値としている。

 TORQUE G06はIPX5/IPX8等級の防水、IP6Xの防塵性能に加えてMIL-STD-810H(21項目)を取得。加えて独自に耐海水、温水、耐薬品試験、各種耐衝撃、耐高温環境試験などを行い、こちらも高い付加価値を提供している。

 まだ残暑の厳しいこのごろ。スマートフォンを水辺に近い環境で使うという人も少なくないはず。機会があればぜひお手持ちのスマートフォンの防水等級についてチェックしてみてはいかがだろうか。

●著者プロフィール

佐藤颯

 生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。

 スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。

・X:https://twitter.com/Hayaponlog

・Webサイト:https://www.hayaponlog.site/

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