鉄道の「自動改札機」はどのように進化したのか 97年の歴史と未来の姿
ITmedia Mobile / 2024年11月24日 10時5分
当時、自動改札機は定期券用と普通乗車券用に分け、正しいきっぷのみゲートが開く。2種類に分けたのは、定期券用は穿孔(せんこう)された特殊なプラスチック製、乗車券は磁気インクでバーコードが印刷されたもので、構造が異なるからだ。
●自動改札機が普及するも、関西と関東で異なる状況に
1968年11月、京阪神急行電鉄は伊丹線伊丹駅にも自動改札機を導入。高見沢電機(現・高見沢サイバネティクス)製で、初めて1台で定期券、普通乗車券の両方に対応できるものとした。
以降、名古屋鉄道、東京モノレール、国鉄、富山地方鉄道、東京急行電鉄(現在は鉄軌道事業の分社化により、東急電鉄として再始動)の一部の駅にも自動改札機が導入された。ただ、メーカーが異なるため、自動改札機やきっぷの仕様、規格が統一されていない難点があった。
それを解消するため、日本鉄道サイバネティクス協議会は1971年5月にサイバネ規格を制定。自動改札機の機構標準を確立し、近鉄が実用化を進めていたノーマルオープン式に統一。あわせて「サイバネコード」と称する磁気式乗車券に関する規格を定め、乗車券、定期券とも記録容量が多い磁気エンコード方式(きっぷの裏面を磁気化して、必要な情報を読み書きできる)に統一することになった。当時の磁気式乗車券はウラが茶色のガンマ・ヘタマイトである。
自動改札機は1970年代から1980年代にかけて、関西の大手私鉄、地下鉄を中心に普及した。相互直通運転が少なく、路線や列車も自社線内で完結するところが多いからだ。一方、関東地方は相互直通運転、各鉄道事業者間の連絡運輸が多く、乗車券類のエンコード化が進まなかった影響で、時が止まったような状況だった。
●「新サイバネ規格」で関東地方の課題を解消、全国に拡大へ
1989年3月、日本鉄道サイバネティクス協議会は磁気エンコード方式を改良した「新サイバネ規格」を制定。磁石などの影響で情報が簡単に消滅させないよう、保磁力を大幅にアップ。情報の記録方式もNRZ-1からFMに変えることで高密度な記録が可能になった。ウラも茶色のガンマ・ヘタマイトから黒色のバリウム・フェライトに変えることで、普通乗車券で約3倍、定期券で約6倍の情報量を記録できる。
これにより、鉄道ネットワークが広大な関東地方にも自動改札機が導入できることになり、1990年から急速に普及した。
さらに新サイバネ規格の制定により、自動改札機に直接投入し、その場で運賃を差し引くストアードフェアシステムの実用化が可能になった。
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