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「LUMIX S9」炎上を、宣伝広告の裏側から考える 見えてきた世間との認識の“ズレ”

ITmedia NEWS / 2024年6月13日 7時30分

 そうなると、製品情報ページ制作中にはまだ実機がないどころか、エンジニアリングサンプルもまだない、ということになる。当然作例が実機で作れるはずもなく、仕様を元に別カメラで撮影するか、ストックフォトの中から説明に最適なものを探すというのは、まあまあ当たり前に行われる。

 気合いが入った製品であればあるほど、こうした宣伝広告はどんどん前倒しで行われるため、どうしても画像は「イメージ」で作らざるを得ないわけだ。また当然最終チェックもかなり厳しく行われるため、一度OKが出たら簡単には変更できない。

 今回のストックフォトの写真も、かなり何度も差し替えが行われた結果、公開された現状のものに落ち着いていったのだろう。メーカーの看板商品サイトで、サイト制作会社に丸投げノーチェック、みたいなことは、誤解だ。

 製品発売前に登場する製品ページは、メーカーとしては「こうなる予定」を分かりやすく見栄えよく伝えようとしたものだ。昔からカメラ系のサイトをチェックしていた人には、まあイメージだよね、というのは伝わっていたような気がする。実際の作例は、製品発売後に特設サイトという格好で別途公開されるケースが多い。それは最初のサイト公開時には、実動製品が間に合わないからそういう形にならざるを得ないのである。

 だが今回大きな騒動になったのは、そうした構造になっているのに気付かず、説明ページの写真だけを見て実機サンプルだと思う人が、実際には相当多くなってしまったということだろう。

 メーカー側としては今回の炎上を受けて、こうした認識のズレにあらためて気付かされたところもあるのではないだろうか。各メーカーも自分たちのサイトのチェックを始めているところかもしれない。

●これからどうなるのか

 実際パナソニックに限らず、他のカメラやレンズメーカーでも、商品説明の画像にストックフォトや別カメラ・別レンズで撮影したものを使っている例は、これまでも相当あると思う。UI画面なんかはあきらかにはめ込み合成だし、なんならUI自体もキャプチャーではなく、Illustratorなどで「描いた」だろうと思われるものもたくさんある。

 パナソニックに非があるとするならば、まあストックフォトはないかな、というところである。他社の例では、サンプル写真は自社でオリジナルのものをあらかじめ作って持っている、というケースが多いようだ。クリエイター相手にクリエイティブ商品を売るなら、そこはオリジナルで頑張らないといけなかったところである。まあ実機の絵でないということが罪だというのであれば、罪の重さは変わらないのだが。

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