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「LUMIX S9」炎上を、宣伝広告の裏側から考える 見えてきた世間との認識の“ズレ”

ITmedia NEWS / 2024年6月13日 7時30分

 ただそういうものを全部洗い出して、メーカーの責任を問うと詰め寄るのもどうなのかなと思う。機能説明も全て実機画像でなければ許されないという風潮になれば、発売前の公式サイトは、プレスリリースみたいなテキストと製品外観写真だけの1枚ペラみたいなものになりかねない。あるいは製品発売が量産2カ月後になるとか。メーカーにとっても消費者にとっても、それはWin-WinではなくLose-Loseだろう。

 現在LUMIX S9のサイトには、すべての写真に対して出展を明記したり、「この写真はLUMIX S9で撮影されたものではありません。画像・イラストは効果を説明するためのイメージです」といった注釈が付けられている。

 炎上への対応としては今はこうするしかないとは思うが、炎上を知らない人や、数年後に事情が知らない人がこのサイトを見たら、なぜ執拗に別のカメラで撮影していることをアピールしているのか、混乱するのではないだろうか。注釈が多すぎて、少なくともサイト本来の目的である、「情報がスッと入ってくる」状態ではないように思う。

 実機で撮影していない写真で機能を説明するのは、景品表示法における「優良誤認」に当たるのではないかという意見もあるようだ。優良誤認とは、消費者庁の説明によれば、「商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為」とある。

 ただ、この実証は難しいだろう。説明写真の状況がS9では絶対に撮れないかというと、おそらくそこまでのレベル差があるとは思えない。一般的に広告宣伝においては、制作時に優良誤認に当たらないかの確認は常に厳しく行われており、メーカー側でも公開前にかなり厳しくチェックしたはずだ。

 もともとのサイトでは、サイトの一番下に「画像・イラストは効果を説明するためのイメージです」との注記があり、消費者をだます意図はなかったことは分かるが、目立たないところに小さく書かれていただけで分かりにくかったのも問題があった。

 今後同様のページに関しては、サイトの上の方にこの注記をやや大きめのフォントで掲示しておけばいいのではないだろうか。またサイトを見る消費者の側も、ああそういう事情なのね、ということがなんとなく広まって、世の中スムーズに行って欲しいなぁ、というのが筆者の思いである。

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