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不足する「AI人材」 社会は変わる、学生はどうする?

ITmedia NEWS / 2024年6月27日 9時5分

 ここで言う技術専門職以外の技術職とは、カスタマーサポート担当者、テクノロジーマーケティング担当者、開発チームと他部門との連携を図るプロダクトマネジャーなどとなっている。また非技術職も肉体労働者というわけではなく、事務員や管理スタッフ、カスタマーサービス担当者等である。そう考えると、一般職ともいえる非技術職でも、5年後にはAIを利用するタスクが40%になっていると予想されているのは見逃せない変化だ。

 一方で雇用者側は、AI人材が不足していると思っており、特に採用に苦労していると答えた比率は韓国に継いで2位となっている。つまり労働者はAIを使うことになるだろうと思っているが、それは「AIユーザー」になるということだ。

 そのユーザーに提供するAIツールは、誰でも使えるUIや専門分野への絞り込み、既存ツールとの連携といった開発行為が必要になる。5年後の期待感とはうらはらに、雇用者はその世界を実現するAIエンジニアが圧倒的に足りないと懸念しているわけだ。

 AWSが無償・有償で多くのプログラムを今から用意している理由は、そこにある。企業のAIへの投資は、まず人材育成からスタートせざるを得ないということは、データが示している。

●大学でAIを教える?

 アンケートでイメージする5年後の世界(28年ごろ)というのは、単に区切りのいい数字にしかすぎないが、日本の学校教育を考えると、妙な符合のあるスパンである。

 高校教育において「情報」が必修となったのは22年のことで、現在の高校3年生が該当する。そして25年度の大学入試、すなわち現高校3年生の入試から、大学入学共通テストでは「情報 I」が必修科目として追加される。

 25年度入学の子たちが就職試験を受けるのが、ちょうど28年ということになる。企業はAIスキルのある学生を採用したいわけが、果たして大学教育はそれに応えられるだろうか。

 現在大学でAIを扱っているのは、情報工学やデータサイエンスといった分野の学部・学科は確実だろうが、他の分野で扱っているかどうか、扱うとしたらどのような使い方なのかは、まだあまり情報がない。そもそもAIが社会で騒がれ始めたのが23年のことで、まだ1年2年ではカリキュラムを立ち上げるのも難しいだろう。しかもAIサービス自体どんどん進化しているので、学問として確立、固定させるのが難しい。

 大学でのAI教育を難しくしているのは、AI利用に対するイメージの悪さだ。大学で真っ先に問題になったのが、課題やレポートをAIにやらせて提出してくる学生といかに戦うかという事だった。大学の方針として、AIの使用は自分のためにならないとして注意喚起したり、その利用を、禁止も含めて教員の裁量にまかせているところも多い。

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