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なぜ360度開くスーツケースの素晴らしさは伝わりにくいのか? エース「プロテカ360」とその製造過程

ITmedia NEWS / 2024年6月28日 21時24分

 そして、素材を二層構造のまま成型するのには、この「真空成型」が必要になる。抜き型のない成型方法だから、形の自由度も高いのではないかと思われる。「プロテカ」シリーズのシンプルだが特徴のあるデザインは、こうして作られているのだろう。空港の荷物受け取り口から出てくる際に、似たようなスーツケースの中で、ちゃんと見分けが付いたのは、この成型方法にも秘密があるのかもしれない。

 成型については、もう1つ、シェルの素材全てがリサイクル材で作られている「プロテカ マックスパスRI 2」が「射出成型」で作られる工程も見せてもらった。こちらは、赤平工場と同じく北海道内にある資源リサイクル業者から提供された廃棄自動車などの再生材を使ったサステナブルなスーツケース。溶融した素材を金型に流し込み、型締め圧力1300t(トン)の力を持つ成型機で圧縮成型したら、冷却後に金型を開いてロボットで取り出すという過程で作られていた。

 ほとんど何でも見せてもらえる工場見学ツアーだったが、金型だけは撮影禁止となっていて、当然ながら、その重要性を改めて知った。面白かったのは、真空成型では、不要部分を切り取る工程があるのだが、そこで出た端材を粉砕しリサイクルするための粉砕機は、防音用の壁面で覆われていたこと。中はとんでもなくうるさいそうで、確かに、外にいてもものすごくうるさかった。粉砕時にそれくらいの音が出るくらい、丈夫な素材なのだ。

 私が使っているプロテカ360は、フレームのないジッパー開閉タイプだが、金属フレームを使ったスーツケースも、まだまだ人気がある。フレームの製作過程も見せていただいた。

 ここでのハイライトは、加熱して、約250度あるマグネシウム合金のフレーム素材を、特殊な手袋を着けた職人さんが、熱そうなそぶりも見せず、手で取り出して曲げ用の機械にセットする姿。4つの角を曲げ終わるころには100度くらいに下がると言われても、100度でも十分に熱いはずだ。機械のズレを防ぐため、20本曲げるごとに角度を確認しているというのも、言われれば当然なのだが、機械だから自動という訳ではないことを思い知らされる。

 身近なだけに圧巻だったのは、スーツケースの内装に使う布の裁断。内装に使うウレタン、生地、メッシュ、芯材などのカットデータはCADで作られて、抜き、断ち、全自動裁断機のそれぞれに振り分けられて、裁断されるのだが、この中の全自動裁断機が、ものすごかった。

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