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「生成AI検索」は著作権侵害なのか? 日本新聞協会の“怒りの声明”にみる問題の本質

ITmedia NEWS / 2024年7月29日 11時0分

●それは著作権の問題なのか

 一方でMicrosoftのBingによるAIの実装は、こうした指摘を受けないよう、慎重に設計されているように見える。

 Bingで検索すると、回答として一番近いサイトの内容の一部が抜き出され、そこにチャット用の入力欄が表示される。つまりここを入り口として、Copilotへ移行するわけだ。ユーザーがCopilotで要約せよと言えばサマリーを出してくるが、これは通常のチャット型AIと同じである。

 もう1つのAI活用としては、ディープ検索がある。ディープ検索が行うのは、ユーザーが入力した検索ワードを、ChatGPTを用いてより詳細な検索クエリを作成する。そして検索結果もまた、そのクエリにより深く関連するかを判断して、検索結果を戻してくる。戻ってくる結果は要約ではなく、リンクだ。

 これは、ユーザーが「検索」に何を期待するのか、という話になる。検索しただけでサマリーまで出てくるGoogleは、検索の先にあるもの、すなわち回答を先回りして集めといてくれるものであり、検索という行為の先にあるゴールを見据えたものといえる。

 一方でBingのディープ検索のような実装は、質問意図に対してより的確なサイトを見つけたいというユーザーにとっては、実用的である。どちらも検索という行為の体験を向上させるものだが、方向性が違っている。

 サイトを見つけたいだけみたいな者がいるのかと思われるかもしれないが、実際に情報の真偽を確認するには、その情報の出所は重要だ。個人ブログと行政機関公式サイトの情報のどちらが信頼性が高いかは、言うまでもない。

 また情報を引用したい場合はその出所を示さなければならず、必然的にサイトのURLは必要になる。AIのサマリーで知りましたでは、話にならない。これは論文などでは非常に重要なポイントだし、子供達にはAIのサマリーを全面的に信用するな、と教える必要はある。

 ただその一方で、検索ついでのAIサマリーで十分な場合もあるのだ。例えばどうしても用語が思い出せないとき、その用語の意味するところをズラズラと検索クエリに入力して答えを探すみたいな使い方の時には、オリジナルのサイトまで訪れる必要はない。他にはちょっと話のネタに最近の話題を仕入れたいとか、あまり厳密に正誤を知る必要もないような事もあるだろう。

 これまではこのようなちょっとした行為に際しても、それぞれのサイトのアクセスカウンターを回していた。全てのサイトに広告がついて回るわけではないが、そうした軽微な行為にも広告が表示され、エコシステムが回っていたわけである。こうした傍流ともいえる収入は、AIサマリーによってなくなることはあり得るだろう。

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