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フリルがメルカリに負けた本当の理由 スマートバンク堀井翔太CEOが語る「エグい学び」の先

ITmedia NEWS / 2024年8月29日 17時30分

 実はフリルに出資していたベンチャーキャピタル(VC)も、このゲームのルールを十分に理解していなかったという。堀井氏は「C2Cの事業をどう伸ばすべきか、VCにも聞いたんですが、明確な答えを持っている人はいませんでした」と振り返る。12年当時、C2C市場は未知の領域で、勝利の方程式が確立されていなかったのだ。

 結果として、フリルは16年9月に楽天による買収を選択し、その後ラクマへと姿を変えることとなった。この経験は、C2Cプラットフォームビジネスにおいて、単なる機能の優秀さだけでなく、ネットワーク効果の重要性を如実に示している。

 この教訓は、現在のB/43の戦略にも大きく反映されている。堀井氏によると、B/43では単純にコピーされにくいビジネスモデルを選択したという。B/43は、夫婦・家族で使うペアカードやジュニアカードなど、家計管理に特化した決済サービスだ。

 「B/43は金融免許が必要な事業です。参入までに2年もかかる分野なので、簡単にはまねされません」と堀井氏は説明する。

 B/43は、参入障壁の高い金融分野を選択することで、単純な規模の競争を避け、独自の価値提供に注力している。さらに、ユーザーの本質的なニーズに応えることで、ロックイン効果を高めている。

 「一度カードを使ってもらうと、生活に密着したサービスになります。競合が出てきても簡単には乗り換えられません」

●資金力の不足 コモディティ化しても強く打てる資金がなかった

 フリルが直面した2つ目の大きな課題は、十分な資金力の欠如だった。

 「事業会社の出身で初めての起業だったため、お金を稼ぐ経験はあったが、何億ものお金を集めて使う経験に乏しかった」と堀井氏は振り返る。この経験不足が、急成長するフリマアプリ市場での競争において致命的な弱点となった。

 メルカリが大規模な資金調達を行い、積極的なマーケティング投資と手数料無料戦略を展開する中、フリルは十分な対抗策を打てなかった。堀井氏は「同じぐらい資金調達してやり返すしかなかった」と当時を振り返るが、それを実行するだけの準備が整っていなかった。

 日本の主要なベンチャーキャピタル(VC)の多くがすでにメルカリ陣営についていたことも、フリルの資金調達を困難にした要因だった。「私たちが追加の資金調達の交渉をしても、もうメルカリに投資することが決まっているので難しいです、といわれるだけだった」と堀井氏は当時の苦境を語る。

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