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フリルがメルカリに負けた本当の理由 スマートバンク堀井翔太CEOが語る「エグい学び」の先

ITmedia NEWS / 2024年8月29日 17時30分

 この苦い経験は、現在のB/43の事業戦略にどう反映されているのか。実は、現在のスタートアップを取り巻く環境は、フリル時代とは大きく異なっている。

 「現在の投資市場はクラッシュして徐々に回復しつつある段階です。そのため赤字を許容してでも急激なユーザー獲得を目指すような資金提供をするVCはほとんどありません」

 この「冬の時代」とも呼べる厳しい資金調達環境下で、B/43は慎重かつ戦略的なアプローチを取っている。堀井氏は「今の市況が許す範囲で成長を目指している」と語る。フリル時代のように大規模な資金投入による急成長が可能な市況ではなく、現在は持続可能な成長モデルが求められているわけだ。

 もちろん、将来的な資金調達の可能性も視野に入れている。堀井氏は「ファイナンスサイドで負けないような勝負ができるかが重要」と強調する。これは、将来の成長機会を逃さないための準備だといえる。

●組織運営の課題 権限移譲とトップの採用コミットの不足

 フリルが直面した3つ目の課題は、組織運営、特に権限移譲とトップレベルの採用に関する問題だった。堀井氏は当時を振り返り、次のように語る。

 「事業がそこそこ大きくなっても、次のプロダクトの仕様で何を追加するか、どういう機能を入れるかなどを、創業者が中心になって話していました」

 この状況が、組織の拡大とともに大きな課題となったと堀井氏は振り返る。

 「製品開発に意識を向けすぎていたため、資金調達や重要な経営判断など、CEOしか行えない決断に十分な時間を割くことができませんでした」

 これは、創業者が細かい製品開発に関わり続けることの本質的な問題を浮き彫りにしている。つまり、製品開発に注力するあまり、資金調達や重要な経営判断といった、CEOでなければできない重要な役割に十分な時間を割くことができなくなってしまうのだ。

 「資金調達も全て私が担当していました。メルカリには小泉(文明)さんのような専門人材がいたと思いますが、フリルではそういった業務も私が行っていたため、その間は事業の進行が停滞してしまうことが頻繁にありました」

 さらに、トップレベル人材の採用にも課題があった。堀井氏は「自分を楽にする人を採らないと、結局権限移譲はできなかった」と反省を込めて語る。つまり、創業者の仕事を代替できるような人材の採用と育成が不十分だったのだ。

 この経験も、現在のB/43の組織運営に生かされている。「現在は、ミッション制を採用しています。例えば、家計管理機能の強化というミッションを持つチームを設置しています」と堀井氏。

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