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世界に羽ばたく日本のアニメ・マンガ 躍進の背景と忍び寄る“危機”とは

ITmedia NEWS / 2024年8月30日 15時56分

・NetflixがCLAMPらトップクリエイターと組む真の狙い――「製作委員会を超越する」アニメ作りの革命:ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る(ITmedia ビジネスオンライン)

 しかし、現在このバブルとも言うべき状況は急速にしぼみつつある。その理由は、配信オリジナル作品が視聴時間数においてよい成績を残せていないからだ。

 もちろん、配信オリジナル作品以外のテレビ放送作品の人気は高く、配信サービスに欠かせないコンテンツであることから、アニメ作品の調達の動きが鈍くなることは考えにくい。しかし、そこで特に問題になってくるのが、外資による高い調達価格(※)とアニメ新作年間200タイトル前後という世界に類を見ない作品供給量が維持できるかどうかだ(※現在は制作費が全体に高くなっており、既に外資系配信向け作品の制作費が特段高いとはいえない状況になっているという指摘もある)。

●危機と常に隣り合わせのアニメ産業

 1クール=放送3カ月・毎週更新30分枠×12話前後というテレビアニメフォーマットは、定額契約を維持してほしい配信事業者にとっても、連続ドラマ同様、あるいはそれ以上に視聴継続性の高い優秀なコンテンツだ。

 その多くが週刊連載マンガを原作とし、面白さが市場で試された上で映像化されている。映像制作に携わるアニメスタジオとその制作陣も、原作ファンの期待を裏切らず、さらに面白いものにするべく技術に磨きをかけ続け、貪欲に新しい制作手法を試すことで、日本のアニメを世界から支持されるものに育ててきた。結果的に海外制作の実写映画やドラマに比べて低コストで調達できる点も、外資配信大手からは魅力的だったはずだ。

 しかし、配信サービスの競争は落ち着き、市場の成長も天井を迎えつつある。国内においてはAmazonプライムビデオが盤石の地位を築いており、音楽や電子書籍など、他のコンテンツ同様、調達コストの見直しが一部では既に始まっているという声も聞こえてくる。急速に拡大した海外売上の多くを占める海外配信大手の配信権料収入だが、ここが伸び悩むと他の分野がさほど成長していないなかでは、これ以上の市場拡大は難しいということになってしまう。

 日本のアニメ産業は、これまでもメディアの変化に翻弄されてきた。2010年前後には、YouTubeなどの動画投稿サービスの普及と、ネット海賊版によって、それまで産業を支えて来たDVD市場の縮小が起こり「DVDバブル崩壊」などと呼ばれた(筆者が当時所属していたアニメスタジオも、この時期に事業の大幅な縮小を余儀なくされている)。その縮小分を補ったのが、パチンコなどの遊興分野や13年からアニメ産業レポートでも集計がはじまった2.5次元ミュージカルなどのライブエンタテインメント分野だった。

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