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なぜソニーが? 個人でも使えるようになった、睡眠時無呼吸症候群のリスク計測サービス「Sleep Doc」

ITmedia NEWS / 2024年9月5日 16時33分

 サプリムの事業を行っているのは、ソニーグループ内で事業開発を行っているスマートライフ事業推進室。主にヘルスケア事業開発を担当している。ソニーグループは、傘下の各会社のセンシング技術を全部活用できる立場にある。

 生体データの取得方法としては、スマートウォッチに代表されるように、PPGセンサーを使うのが一般的だ。時計の裏側からLEDで緑色の光を照射し、皮膚下の血管の血流量の変化をセンサーで測定する。

 もともとソニーでは、スマートフォンなどで広く普及しているIMU(加速度/ジャイロセンサー)を使ってバイタルセンシングができないかという研究を長らく続けていた。14年のCESでは、ウェアラブルセンサーの「SmartBand」や、テニスラケットに装着して打点などを計測する「Smart Tennis Sensor」などを出展している。

 今回ソニーグループが取り組んだのは、このIMUを使って、睡眠時の体の微細な振動、呼吸や脈拍を測定することで、無呼吸及び低呼吸状態を検出できないか、という課題だ。もちろん睡眠時には寝返りをうったり起き上がってトイレに行ったりいろいろな運動が混じるが、こうしたノイズを排除して正確な情報へブラッシュアップすることが必要になる。

 解析アルゴリズムの開発には、臨床試験とのデータの付き合わせや、大学教授との協働などを行い、信頼性を高めた。また計測後のレポート形式にしても、睡眠学の研究者に監修を依頼し、患者自身だけでなく専門医が見ても意味が分かるものに仕上げている。

●医療機関へどうつなぐか

 23年10月にサービスを開始したSleep Docでは、まず運輸・運送業界に着目した。それというのも、国土交通省に提出された順天堂大学大学院の資料によれば、交通事故発生率が健康な人と比べてSASでは約3倍という数字が出ているからである。これは飲酒運転に匹敵する交通事故リスクであるという。加えて日本大学の試算によれば、睡眠障害全体の経済的損失は年間3兆5000億円と推定されるという。

 物流ということからすれば、「2024年問題」はすぐに思い当たるところである。この4月からトラックドライバーの時間外労働が960時間に制限されたのも記憶に新しいところだが、この背景には慢性的な長時間労働により、事故リスクが拡大したことも要因の1つに上げられている。

 SASは関係ないのではと思われるかもしれないが、慢性的な眠気と疲労の区別は困難との見方もある。つまり事故リスクが高まったのは、疲労ではなくSASである可能性も否定できないと言うことになる。

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