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「負けヒロインが多すぎる!」と豊橋市の“超絶コラボ”、どう実現したのか? 仕掛け人に聞く【前編】

ITmedia NEWS / 2024年10月24日 12時0分

 アニメ化発表後、私たち行政に正式にコラボのご提案が来た段階では、フィルムコミッションとA-1 Picturesさんとの間には既に信頼関係ができている様子でした。そこから、JR東海さんのご提案をきっかけとして行政も加わり、観光誘客を目指す現在の形になっています。

●舞台の地域における「三方良し」の関係とは?

 ここで少し解説を加えておきたい。今回のマケインのように、アニメの舞台やモデルとなった地域で従来とは異なる観光(コンテンツツーリズム)が盛んになることは珍しくなくなった。

 埼玉県鷲宮市が舞台となった「らき☆すた」(2007)でも地元商工会とファン、権利元であるKADOKAWAが協力を得て現在も地元のお祭り(土師祭)などコラボが続いている。JR東海「推し旅」によるコラボも行われ、加藤氏も参考にしたという沼津の「ラブライブ!サンシャイン!!」も成功事例として取り上げられることも多い。

 しかし、アニメの舞台となったからと言って、必ずしも地域に恩恵がもたらされるとは限らない。作品が人気となることはもちろん大前提だが、それぞれ異なる思いを持つ地域社会・ファン・権利元が良い関係を築いていることが舞台巡りを楽しく、皆が満足できるものにするために重要だ。

 そして、3者(アクター)の関係を良いもの(三方よし)にするためには、更に「タイミング」と「コスト」も重要となってくる。

 作品が人気となってから舞台となった地域が準備をはじめていては機会――ファンの盛り上がり以上に、わずか3カ月間の放送・配信で勝負が決まる権利元が作品PRに積極的である時期が重要だ――を逃すだけでなく、自治体や商工会など地域組織が費用を掛けて取り組み(例えばのぼりの製作や掲示)を行うには、通常少なくとも放送・配信の前年度には予算化が完了している必要がある。

 「なんだか普段と違う来訪者がいる」と気がついた時点では既に手遅れとなっている可能性が高いのだが、地方自治体も動くとなると議会での説明や説得に難航するという話もよく耳にする。

 マケイン×豊橋の事例で注目したいのは、これら3つのアクターの関係・タイミング・コストの全ての歯車が上手く噛み合っている点だ。タイミングについては、地元出身の作者によるラノベが刊行されていた時期に既に熱心な地域のファンが中心となってコラボをスタートさせていたことがアニメ化発表以後の取り組みにもつながっていたことが分かる。一方でコストについてはどうだろうか? 更に話を聞いていこう。

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