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ソニーの謎ソリューション「Contents Production Accelerator」、よく分からなかったので詳しい話を聞いてきた

ITmedia NEWS / 2024年12月18日 13時36分

 開発するソニーにもメリットがある。これまで一点もののメンテナンスのために、開発環境や開発資料、技術者を10年以上キープしなければならなかった。いつお呼びがかかるか予測できないが、もう10年前なんで分かりませんと投げ出すわけにもいかない。そうしたメンテナンスのための「維持」が不要になる。SaaSなら常に最新システムだけを面倒みていけばよくなる。

 「Contents Production Accelerator」は、報道編集支援のバックボーンプラットフォームというか、いわば1つのパッケージ商品となる。編集システムは、報道系で採用の多いEDIUSにまず対応し、その後順次他のソフトウェアも対応していくという。EDIUSはさまざまなファイルフォーマットをネイティブで読めるところにメリットがあり、プラットフォーム側ではただ素材を変換せずそのまま通せばいい事になる。

●これからのキーは「ニアライブ」

 現場で起こっていることを撮影し、いち早く電波に乗せるというのは、報道の究極の形である。そのために中継車があるわけだが、中継車の数には限りがある。日本では法的な問題で実現しなかったが、ソニーでは2000年以前から衛星回線を使い、カメラとその周辺機器だけで局へ映像を直接送るというソリューションを、Betacam SXでやろうとしていた。

 その後4Gや5Gといったキャリア回線の高速化により、LiveUやTVUPackを使って映像をライブでストリーミングするという手法が一般化された。だが実際には、フレーム落ちや遅延なしで放送品質のライブ映像を保証するのは、大変リソースを食う。出払っているあらゆるカメラにそれらの機材を搭載するわけにもいかず、また受け側のサーバにもリソースの限界がある。

 そこで昨今注目されている技術が、カメラの録画中にある程度の量がたまったら、そこから順次小分けファイルとしてクラウドに送るという手法である。最小が30秒単位のぶつ切りなので、ライブではない。最低でも30秒遅れになる。だがライブストリームを送るのではなくファイル転送なので、均一なスピードが出なくても構わない。

 待ち構えるクラウド側は、最初の30秒が届いた時点でファイル化するが、次が届けばそれを同じファイルに継ぎ足していくので、ファイルはどんどん伸びていく格好になる。最初にファイルができた時点で、プレビューや編集作業が開始できる。つまりライブではないが、「ニアライブ」ではある。

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