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「文学フリマ」の盛況を支える“KDP出版”とは? リスクを抑えながら自費出版する仕組みと楽しみ

ITmedia NEWS / 2024年12月22日 8時20分

 しかも、紙の本と同じレイアウト、書体で読んでもらえる。モノとしての紙の本に価値を持たせたい自主出版のレーベル的には、プラットフォームやリーダーを選ぶ、フロー型の電子書籍よりもPDFで読んで貰う方が紙の本との一貫性がある。

 本を印刷する前に、PDF版を買ってもらえると、採算が早く取れることにつながるし、どれくらい読者がいるのかの事前調査にもなる。文学フリマ以降は、在庫を引き続き販売できるというのもメリットだ。文学フリマで買ってくれた人が、SNSに感想を上げてくれることで、通販が動くことは当たり前にある。ありがたい話だ。

●作って売ってみて初めて分かること

 こうして見ると、個人が紙の本を作って売るというのは、IT的というか、ほとんどDXだということが分かると思う。個人が本を作って売ることのハードルが、今やこれだけ下がっているというのは、多くの人に知ってほしいと思うのだ。とにかく、書きたいことがある人、昔書いた原稿がある人、なにより、雑誌やWebなどに山ほど原稿を書いているライターのみなさんは、自分の原稿を、編集して本にするという作業をやってみることをお勧めする。

 作って売ってみると、本の正体が分かるし、出版社やメディアとのつき合い方も変わってくる。なにより、本を作ることはもちろん、自分の本を目の前で手に取ってもらって、パラパラと読んでいる姿を見守って、「1冊ください」と言ってもらえる喜びは、文章を書いている人なら、一度は体験しておくべきだと思う。

 今回の文学フリマ用に作った私の本、「Books and Bites 本を読んだら食べたくなって」は、紙の書籍はAmazon、PDF版はBOOTHで販売中。江戸歌舞伎の作者鶴屋南北の戯曲を読みやすく小説形式にして復刻した文庫本「菊月千種の夕暎」は、書籍版をBOOTHとBASEで買えます。今の自主出版がどういう感じなのかのサンプルに、読んでみてください。

 また、このようなムーブメントの只中で、「軽出版」という言葉を発明し実践している文芸評論家、仲俣暁生氏の「もなかと羊羹」は、自分で本を作ることの意義と運動について書かれた、現代の手引書です。自主出版に興味がある方は、是非、こちらも手に取ってみてください。BOOTHとBASEで購入できます。

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