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「文学フリマ」の盛況を支える“KDP出版”とは? リスクを抑えながら自費出版する仕組みと楽しみ

ITmedia NEWS / 2024年12月22日 8時20分

 ページ全体の見た目がキレイだと、本は読みやすいし、ちゃんと作っている感じが伝わるのだ。紙の本は「モノ」なので、ディテールが案外重要なのだ。

 できあがったら本文のページ数が分かるので、KDPのヘルプページで、表紙のサイズ計算を行う。判型とページ数を入れると、テンプレートを作ってくれるので、そのテンプレートに合わせて表紙を作成する。

 その際、重要なのは、実際のサイズより少し大きめに画像を入れること、印刷可能範囲からはみ出さないように文字を入れること(特に背表紙の文字はエラーになりやすいので注意)、余分なリンクや不可視データを残さないこと、といったところで、本文同様ワープロソフトやグラフィックソフトで作成してPDFで書き出す。

 ただ、筆者は本の表紙というのはとても重要だと思っているので、ここは、友人のデザイナーに頼んで作ってもらっている。とはいえ、写真などはこちらで用意するし、表紙に入れる言葉なども、こちらで決める。さらに、こんな感じかなとか、雰囲気とかは相談しながら決めていく。

 筆者はこの1年半で7冊の本を作ったのだが、全て同じデザイナーに表紙を手掛けてもらうことで、レーベルとしての統一感も出たと思う。また、文学フリマで売る場合、表紙に引かれて足を止めてくれる人が結構いた。前にも書いたように、本は「モノ」なので、見た目はとても重要なのだ。

 この表紙に関して気がついたことがある。去年くらいから、文学フリマで販売されている本の表紙のレベルがかなり上がっているのだ。つまり、生成AIの普及。生成AIで作った背景に、カッコよくロゴを組み合わせると、それだけでかなり「本」らしい表紙になる。

 ポイントは、文字の書体と配置で、そこはもうセンスというか、生成AIはあまり得意ではない部分。だから、差は文字でつくというのが、何とも「本」らしくて面白い。

 筆者も、タイトルを決めたり、英語タイトルやサブタイトルなどは、AIと相談しながら決めることが多い。出版社では、本のタイトルというのは、結構、編集者や営業が決めることも多く、それはそれで一理あると筆者は思っている。著者の思い入れだけで作られた本は、商品として弱い。他社の視線が入った方が、面白いものができる可能性は高いと思うのだ。そこで、第三者としてAIに頼ったりしている。

 ただ、時代が変わっても、結局人力が便りなのは文字の校正だ。どれだけ読み直しても、誤字脱字は見つかるのが本という存在。だから、もし時間があるのなら、全部できあがったあと、KDP出版の「校正刷り」サービスを使って、実際に紙の本を読みながら校正を行うことをお勧めする。この実際に売るものと同じ体裁の本で校正ができるというのも、オンデマンド印刷の魅力の一つだろう。

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