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「シンプルなカードケース」は“キャッシュレス時代のお財布”になれるか?

ITmedia NEWS / 2025年1月30日 8時40分

 この話でも分かる通り、製品化されてしまうとなんということもないアイデアに見えるかもしれないが、カードケースに、この使い方を組み込もうというのは、そうそう思いつくものではない。

 しかも、このアイデアは、バリューイノベーション製品の一方のテーマでもある「ミニマム」という姿勢には反しているように見える。ケースの幅にゆとりを持たせ、ケースの中でカードを探しやすくするというアイデアは、結果的にカードケースのサイズを大きくするし、収納時には、そのゆとり部分が無駄に見えてしまう。ミニマム至上主義だと思いつきにくいと思うのだ。

 「いろいろなミニマリストの方の本を読んだり、SNSを見る機会があるのですが、やりすぎやネタでやっている方が多いと感じることが多々あります。私自身は基本、便利や使いやすさが先に来て、その手段としてミニマムなプロダクトになることが多いです。ミニマムがゴールなら、ケースは要らないという結果になるでしょう。今回も、軽くシンプルで、使いやすいということがメインで、その結果として、ミニマムなプロダクトになったと考えます」と南さん。

 この、「便利や使いやすさが先に来て、その手段」の一つにミニマムがあるという柔軟さが、バリューイノベーション製品の良さなのだ。

●自分が使いたいものを作ってる

 「カードを選ぶ時に、単にカードを差し込むだけのケースの場合、カード全体をスライドさせる必要があります。一方で、扇形なら下の部分は動かさず、そこを支点のようにして、上の部分だけを親指を人差し指でスライドさせます」と、実際の使い方を解説する南さん。この使い勝手の部分にこそ、ミニマムな発想がある。シンプルであること、ミニマムであることは、実用品の場合、形状の話ではないのだ。そこは、南さんがプロのプロダクトデザイナーではないからこそ可能な発想なのかもしれない。

 随分昔、「薄い財布」を発売したばかりの南さんにインタビューした際に、「とにかく自分が使いたいものを作ってるだけなんです」と笑っていたのを思い出す。その姿勢が変わらないからこそ、機能やデザインよりも「使い方」を考えた製品作りができるのだろう。

 「シンプルなカードケース」のフラップ部分には内側に小さなポケットが付いている。これも、あったら便利だけど、別になくても構わないし、「シンプル」にこだわるなら、ない方が潔いといえるかもしれない。でも、これを付けるのが、南さんのサービス精神なのだろう。南さんは、ここにエアタグを入れているという。

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