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AppleはAIのOS統合をどのようにデザインしたのか? 林信行の「Apple Intelligence」考

ITmedia PC USER / 2024年6月12日 6時0分

 Appleはできるだけ通信を行わず機器内で処理を行い、どうしても通信を行う場合でもやりとりする情報量を最小限にとどめるというプライバシーに関するデザインの原則を持っている。

●AIに適しているプロセッサは、もうApple製品の中にある

 Appleは2017年以降、AI処理に優れたプロセッサを開発し続けており、既に画像の認識や翻訳など多くのAI処理が、iPhone/iPad/Macのオンデバイスで処理できる。それに対応している機能であれば、通信を行ったり、クラウドサービスにデータを渡したりする必要はない。

 それでもデバイス上で処理しきれない高度なAI処理を行う場合は、「Private Cloud Compute」というプライバシーに配慮したサーバの助けを借りる。サーバに送られる情報は匿名化されるだけでなく、そもそも結論を導き出すのに必要な最小限の情報しか送らない設計になっている。しかも、処理を終えたらサーバ上にデータを残さないという徹底ぶりで、プライバシーに配慮を行う。

 このようにユーザーが安心してプライバシー情報を預けられる土台をまずは作った上で、その原則に基づいてパーソナルなアシスタントを動かすのと、後付けの機能でプライバシーを守るのとでは安全性に大きな違いがある。

●ChatGPTは「統合」ではない リクエストを外注する「連携」先として採用

 ただし、プライバシーに配慮し、できるだけオンデバイスで処理を行う設計のApple Intelligenceだけでは、できることに限りがある。そこでAppleが打ち出したのが、OpenAIのChatGPTと連携させる手だ。

 例えば、Apple Intelligenceにはさまざまな分野の専門的知識に基づいた情報の提示や、画像/文章のより深い理解といったことはできず、ChatGPTの方がその点においては優秀だ。

 だから、例えば冷蔵庫にある食材の情報からレシピを生成するといった専門知識を必要とするAI処理を頼もうとすると、Apple Intelligenceがその要求にはChatGPTを利用した方が良い結果が得られそうだと説明し、ユーザーからのリクエストを(より安全性の落ちる)ChatGPTにも共有していいかを聞いてくる。

 ここでユーザーが「はい」と答えると、Apple IntelligenceがChatGPTにリクエストを送り、結果を表示してくれる。

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