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「AirPods 4」はより小さく、より多機能に! 「AirPods Pro 2」は数億人の生活の質を変えうるデバイスに 林信行氏が速攻レビュー

ITmedia PC USER / 2024年9月16日 21時5分

 どの周波数帯でどの程度の聴力の減衰があるかを「dBHL(デービー・エイチ・エル)」という単位で記した聴力レベルのグラフを表示してくれる機能があり、診断後に問題があり医師に相談する際に、結果をPDFとして出力する機能も備えている。

 だが、これで終わりではない。万が一、ここで軽度から中程度の難聴が認められた場合、今度はAirPods Proが補聴器のように使える、臨床レベルのヒアリング補助装置として機能するのだ。

 補聴器は一般的な片耳用のものでも10万~30万円ほどと比較的高価で、100万円を超える製品も珍しくない。通販などで数万円で販売している格安の製品もあるが、こういったものの多くは単純に周囲の音を集めて大きくしているだけの「集音器」や「助聴器」で、厚生労働省から正式に「医療機器」として認定された「補聴器」とは異なる。

 ヒアリング補助機能がオンになったAirPods Pro 2も、そういう意味では厚労省に認定された補聴器とは異なる。しかし、厚労省認可の聴力テスト機能に基づいて左右それぞれの耳のプロフィールを作成し音楽/映画/ゲーム/通話といった状況に応じて音のレベルを自動的に調整してくれるという点で、ある意味、単純な補聴器よりも優れた製品となっている。

 さらに面白いのは会話を補助する機能だ。難聴の人が苦手とする状況の1つに3人以上での会話がある。誰か1人が話している内容は集音器などでレベルを上げることで聞き取れることがあるが、この時、周囲の人も同時に話しだすと、聞きたい相手の話が聞こえなくなってしまう。

 iPhoneからの設定で会話モードをオンにすれば、自分が向いている方向の相手の声だけが拡大される。さすがミシガン大学などと組んで16万人以上が参加したApple Hearing Studyという聴覚に関する大規模調査を行ってきたAppleだけあって、機能の設計がしっかりしていると感じた。筆者は補聴器と集音器を数度試したことがある程度の健常者なので、日常生活でどの程度役に立ちそうかまでは評価ができないが、会話モードをオンの状態で視線を動かすと、それに合わせて声のフォーカスが自然に変化する体験には驚かされた。

 なお、AirPods Pro 2を補聴器代わりにすることには、もう1つ大きなメリットがあると思った。これまでも障がいをもつ人の取材やデザインコンペの審査員として、さまざまな補聴器を見てきた。それら多くの「補聴器」は「聞こえ」の悪さという自分のハンディキャップを隠すべく、性能をあげつつもいかに目立たなくするかが課題となっていた。多くの製品が小型化をし、時にはさまざまな肌色のカラーバリエーションや特注オーダーを通して、この問題に当たっていた。

 しかし、AirPodsは冒頭でも触れた通り、現在、世界中のファッションリーダーやトップアスリートも愛用する世界的なファッションアイテムの1つとなっている。実は隠すことなく、誰にも不自然に思われず堂々と耳につけておくことができるのだ。

 最近では、まるでつけていないように自然に周囲の音が聞こえるトランスペアレンシーモードの認知も広まったため、ちょっとした買い物などでヘッドフォンを装着したまま会話をする姿も日常風景として珍しくなくなりつつある。

 今後、そうやってAirPodsを付けたままの人が増えることは、世界中に15億人いる難聴者が孤立せず、より自然に馴染める社会を作る行動なのかもしれない。

 Appleが作る最小のコンピュータともいえるAirPodsだが、これからの社会に与えるインパクトはかなり大きそうだ。

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