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10年間“卒業”できなかったVAIOがノジマ傘下に入る理由

ITmedia PC USER / 2024年11月13日 12時45分

 JIPによるカーブアウト事案としては、2014年にNEC(日本電気)から買収したNECビッグローブの事例も有名だ。NECは直営でインターネットサービスプロバイダー(ISP)サービス「BIGLOBE(ビッグローブ)」を運営していたが、2006年7月にISP事業を「NECビッグローブ」として分社した。

 JIPは2014年3月末にNECビッグローブの全株式をNECから取得し、NECビッグローブの商号は翌4月に現在の「ビッグローブ」となった。

 そして2017年1月末、ビッグローブはKDDIに売却され、現在ではKDDIグループのISP/MVNOとして活動を継続している。JIPは買収から3年弱で売却に成功したことになる。

 JIPのWebサイトを見る限り、VAIOは最も長く「投資中」のフェーズから脱せていなかったことは否定できない。“卒業”するきっかけを見いだせなかったのだ。

 もちろん、ISP/MVNO事業を手がけるビッグローブと、ハードウェア事業を手がけるVAIOでは、投資期間なども違っていて当然だし、直接比較することには無理があるかもしれない。

 しかし、投資会社から見れば「そんなの関係ねぇ」ことは否定できない事実でもある。10年以上も売れなかったという事実は、軽くない。

●ここ数年で急速なV字回復を実現し急成長したVAIO

 長年投資中フェーズにあったVAIOだが、ノジマが2025年1月に特定目的会社(SPC)を通して買収することになった。手法としては、ノジマのSPCがJIP傘下の持株会社(VJホールディングス3)を買収した上で、同SPCがJIP傘下のファンド(JIPキャピタル事業成長パラレル投資事業有限責任組合)が保有するVAIO株式も引き取ることで、合わせて約93%のVAIO株式を間接保有することになる。

 ノジマが取得にかける予定の費用は112億円で、内訳は株式譲渡にかかる分(持株会社の買収+株式譲受)が111億円、その他の費用(アドバイザリー費用など)が約1億円とされている。

 そうなると、次に浮かんでくる疑問として「ノジマ(あるいは今回は明らかになっていない他の売却候補)にとって、『10年卒業できなかったVAIO』のどこが魅力的だったのか?」という点が挙げられる。実は、買収に当たってノジマが公表した適時開示情報にそのヒントが隠されている。

 この適時開示情報には、VAIOの過去3年間における決算状況が記載されている。以下にまとめたのでよく見てみてほしい(同社の会計年度は6月1日~翌年5月31日となっている)。

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