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10年間“卒業”できなかったVAIOがノジマ傘下に入る理由

ITmedia PC USER / 2024年11月13日 12時45分

 これを見て分かる通り、2022年5月期は純利益が3億2900万円の赤字だったのが、2023年5月期には7億1900万円の黒字、2024年5月期には9億8500万円の黒字と急速にV字回復している。それに貢献しているのが、サービスを含めた総売上高を示す「売上収益」だ。2022年5月期から2期(2年間)で、実に約1.87倍に増えている。

 2023年6月~2024年5月の2年間は、PC産業はよくいえば「停滞期」、悪くいえば「マイナス成長期」だった。JEITA(電子情報技術産業協会)が発表した2023年度(2023年4月~2024年3月)のPC総出荷台数(※1)は668万2千台と、前年度比96.8%のマイナス成長となった。

(※1)JEITA加盟社のみの集計値(Apple Japanやデル・テクノロジーズなど、未加盟社のデータは含まれない)

 そういう市場環境の中で、VAIOはどうだったのだろうか。7月にVAIO設立10周年を迎えた際に、筆者が同社の林薫氏(取締役執行役員)にインタビュー取材で尋ねたところ、「直近の会計年度は、2期前と比較して売上高も台数も2倍になっている」と述べていた。これは、ノジマの適時開示情報に掲載された情報とほぼ合致している。

 つまり、こうした売上高の拡大は簡単にいうと本業であるPC事業で成功を収められた成果ということになる。市場がマイナス成長の中でも、VAIOは着実に成長している――そういうことだ。

●「B2B特化」が奏功した急成長に「B2Cメイン」のノジマが目を付けた

 この急成長は、どのようにして遂げられたのだろうか。その鍵は、VAIOが近年法人向け(B2B)市場に力を入れていることがある。

 先述のインタビューの中で林氏は「VAIOのPC出荷台数のうち、(時期によって変動はあるものの)おおむね80~85%が法人向けである」と説明した。つまり、現在のVAIOのPC事業の“主戦場”は法人向けなのだ。

 このこともあり、同社のPC開発体制は法人向けファーストが貫かれている。法人ユーザーが求める機能を実装してパッケージを構成した上で、それを個人向け製品にも展開する形になっている。

 最新モデルのVAIO SX14-R/VAIO Pro PK-Rを例に取ると、法人向けモデルであるVAIO Pro PK-Rがあくまでも“先”にあり、それを個人向けにリパッケージしてVAIO SX14-Rが生まれた――そういうことになる。

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