朝ドラ「虎に翼」稲役・田中真弓ロングインタビュー「私はまだ伸びしろだらけ、70で新人です」
iza(イザ!) / 2024年7月26日 12時0分
友達は「真弓が絶対言わないセリフを吐いてた」と
――「なつぞら」で演じられた村川役と同様に、今回の稲さんも、女性が社会に出て男性と同じように働くことについて、主人公に苦言を呈するというような役柄でしたが、田中さんご自身は、まさに寅子やなつ(広瀬すず)のように共働きで頑張ってこられた方であり、若い頃の自分自身にダメ出しするようなセリフをどういう思いで演じられましたか?
「本当に周りの友達からは、電話やLINEで『真弓が絶対言わないセリフを吐いていたな』『お前は絶対逆側だよ』って言われまして、自分もそう思いました。女は結婚すると同時に、今までやってきたことを辞めなきゃいけない、子供が産まれたら辞めなきゃいけないという固定観念が、今はそうじゃないって言っていても、子供が5歳になるまでは母親が見るべきだとか言う人もいるし、やっぱりどこかで自分もそんな風にも思っていたところがありました。ただ、自分の人生を大事にしてきた自負もありますので、たしかに私が言わなそうなことを言ったなという印象でした」
――稲さんとしてではなく、いち視聴者の目線でこのドラマを見た時に、男性優位の社会で頑張っている寅子や彼女の仲間たちにどんな言葉を贈りたいですか?
「今も全然やっぱり男性優位だよっていうふうに思っているので、始まったばかりというか。トラちゃんたちはその立ち上げの時代にすごく頑張ってくれた人たちで、それを引き継いで、男として女としてではなく、人として頑張っていこうよねという感じですね」
――第7週で寅子に「全ては手に入らないものですよ」と結婚を後押しする場面がありました。先ほどお友達から、絶対にあなたが言わないセリフだと言われたと仰っていましたが、このセリフに込めた心情は?
「トラちゃんを自分の娘のように考えて、その時代の母親にとっての女の幸せは、自分もそうだったろうし、それを子供にもと思う時に、花江さんはそういうふうに育ってくれたので安心でしたが、女の幸せという点でトラちゃんの人生は本当に大丈夫かな?と思ったんでしょうね」
「新潟編はコメディエンヌ的な方向で演じました」
――演じるのが難しかったところは?
「第1週『女賢しくて牛売り損なう?』第2回(4月2日放送)と第7週『女の心は猫の目?』第33回(5月15日)では、女の幸せっていうものをちゃんと考えてる人で、本当に賢い人、トラちゃんのように法律の勉強をしたいと思ったくらいの頭のいい人なのかなと思っていました。新潟編では逆に愉快な人というか、世が世なら歌手や女優になりたいような人です。役づくりが変わってしまったんですが、今思えば、1回目、2回目の出演場面で、チーフ演出の梛川(善郎)さんが仰っていた『もっとやっちゃっていいですよ』という言葉の意味が、もしかしたら『三枚目的なお芝居を最初の時からやっていいですよ』ということだったんだろうなって。でも、第2回の花江ちゃんと直道(上川周作)さんの結婚式の招待状を書いているシーンで、役をひょうきんに面白くしようという考えが及ばなくて、とりあえず腹でも叩いておこうかと思ってやってみたら、そこはカットされていたので、やっぱり望まれていないのかな(笑)と思っていたんですが、新潟編ではコメディエンヌ的な役どころなのかなと思えたので、その方向でやってみました」
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