[文谷数重]【オスプレイと基地、どちらが大事か明白】~ハワイでの墜落死亡事故~
Japan In-depth / 2015年5月19日 23時0分
ハワイでオスプレイの死亡事故が発生した。それに伴い、翁長沖縄県知事はオスプレイの飛行停止や配備撤回を求めたという。
沖縄はオスプレイ配備でまとまっている。すでにオスプレイは沖縄に配備されているが、その配備で県以下の各自治体が反対したことは広く知られている。
もし沖縄でオスプレイ死傷事故が起きたら、どうなるのだろうか?
日米同盟に影響するほどの政治問題化することは間違いない。基地反対運動にも火に油を注ぎ、現状の普天間−辺野古には留まらない。嘉手納に飛び火し、場合によれば自衛隊那覇にも影響する。
これは軍事的にも相当のリスクとなる。嘉手納・那覇が使えなくなれば、東アジアを挟んだ日米海空航空戦力と中国航空戦力のとのにらみ合いで不利になる。
たかが輸送機に過ぎないオスプレイ運用で、そのようなリスクは間尺に合うものではない。
政府は今からでも、オスプレイ問題で譲歩すべきである。沖縄の自衛隊、米海空軍施設の安定使用を考えれば、今からでも沖縄の顔を立て運用で多少の譲歩をすべきだ。また横田への空軍型配置でも、自衛隊新型機配備での丁寧な地元対策を講じるべきである。
■ 強引すぎたオスプレイ配備
オスプレイ配備での問題は、配備が強引すぎたことである。日本政府は対米協力姿勢を示すため、オスプレイ配備円滑化に汲々とした。対米協力といっても実際には米国の安全保障サイド、さらにその極一部でしかない米海兵隊の感謝が得られるだけだが、そのように努力した。
対して、沖縄県以下の配備反対に対しては、日本政府と海兵隊は「安全だから」となんらの配慮もしなかった。これは、地元自治体の面子を潰す誤りであった。
以前であれば、政府は形だけでも地元意見を聞き、安全性を検討する素振りをみせた。協議をし、それにより1年、あるいは半年でも配備を遅らせれば、自治体に成果を与えた形になる。それで顔を立たせることができた。
しかし、2013年のオスプレイ配備では、そのような配慮はされていない。各自治体の反対の中、日本政府は意向に配慮することなくオスプレイ配備を機械的に進めた。そしてオスプレイは現状何の制約もなく飛行している。
■ 墜落の政治的リスク
しかし、それによって日米はオスプレイ墜落での重大リスクを抱え込んだ。
「もし沖縄で墜落したら、どうなるのだろうか?」と考えればよい。当然だが、1977年のファントム墜落の比ではない。米軍駐留全体に影響するような政治問題となることは間違いない。
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