[細川珠生]【南シナ海での制海権掌握という中国の野望】~宮崎正弘氏に聞く、「ゲームチェンジ」に気付け~
Japan In-depth / 2015年6月16日 15時0分
南沙諸島での中国の行動が問題になっている。岩礁を埋め立てて人工島を作り、防空識別圏を設定しようとする等の勝手な動きを国際社会は非難しているが、止める気配はない。この問題について、評論家の宮崎正弘氏に聞く。
中国の行動の意味について宮崎氏は「推測するしかない」と述べ、「国防白書は自分たちの目的について何も語っていない」と指摘した。中国の国防白書は、軍事改革について述べていて、七つある軍管区を戦区とするとしており、整合性のある効率的軍隊にしようとしている。
宮崎氏は、「20年前の中国軍は、海軍は無きに等しき存在だったが、今は公海に出てきて勝手な振る舞いをしている」と批判。この状況に対して、「黙っていてはいけない」と細川氏も述べた。
アメリカは中国の振る舞いについて、ノータッチの方向性だったが、様々な立場の人たちが批判し出している。オバマ政権はあまり干渉しようとする気がなさそうだが、今後どうしていくのか。宮崎氏は、「オバマ大統領の言うアジアリバランスとは、2020年までにアジア太平洋地域にシフトするということで、現状は殆ど何も変わっていない。」と説明。アメリカは、佐世保・横須賀の空軍力の誇示によってアジアにおける力のバランスを保っている。
静かに進行しているのは、日本・アメリカ・オーストラリア・インド4カ国による空軍演習だ。さらにベトナムとフィリピンは急激にアメリカへの依存度を高めている。「南シナ海において中国海軍の傍若無人な動きを見ていると、反発が起きるのは自然な流れ」と宮崎氏は分析した。
このような状況の中、国会で審議が始まった平和安全法制について、世論調査では国民の半数が「集団的自衛権は必要ない」と答えるという結果が出ている。これを受けて、細川氏が「集団的自衛権に対する国民の理解が進んでいないように思える」と指摘すると、宮崎氏は「進んでいると思う」と述べた。マスコミの世論調査の方法論に問題点があることを指摘し、「集団的自衛権は、国際的常識に照らすと当たり前の話だ。」と述べ、そのような議論を国会で行っている日本は「20周位遅れている」と述べた。
このような議論の背景にある憲法の問題を宮崎氏は指摘し、「国防、国家安全保障を避けてきたつけが今回ってきている。」と述べた。中国における反日暴動、尖閣諸島問題、小笠原諸島での赤珊瑚の問題など、日本の周りで色々な問題が勃発してきているので、国民がようやく問題視し始めたのだ。
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