「敵国攻撃能力」を備えて日本は何を狙うのか 中国・海南島の中国海軍基地が第1目標だ
東洋経済オンライン / 2024年5月11日 8時0分
日本は敵国攻撃能力の導入を進めている。戦時において敵国領土内にある目標を攻撃する。そのために巡航ミサイル導入を進めている。しかし、そのミサイルで何を狙うのかは見えていない。それでどのような効果を期待するのかといった話もない。日本の敵国攻撃能力は何を狙うのだろうか。
将来的には海南島の中国海軍基地が第1目標となる。なぜなら敵国攻撃に求める3つの条件をすべて満たすためである。
あやふやな敵国攻撃能力
日本は敵国攻撃能力に何を期待しているのだろうか。現状ではその段階から不明瞭である。明確な目的があっての話ではない。
そもそも対象国の段階で変化している。当初は北朝鮮対策であった。核実験と弾道弾開発への対策として1990年代に与党が持ち出したのが始まりである。最終的には北朝鮮弾道弾の発射前撃破を狙う話となった。
それが中国対策に一変した。導入検討は2020年6月に始まる。これはイージス・アショアの代替策としてであり北朝鮮対策であった。
それが同年秋口から中国対策に変化した。南西諸島侵攻の抑止のためには必要であるとの内容である。後には台湾有事の抑止も加わった。
なお、どちらの場合も実現性の検討はしていない。本当に敵国攻撃能力が効果を挙げるのか。そのような評価はまったくない。
実際のところ、抑止は北朝鮮でも難しい。アメリカの強大な航空戦力や核兵器にも怯まない国である。日本が準備できる程度の巡航ミサイル攻撃は怖れもしない。
弾道弾の発射前撃破も絵空事である。車載式でありつねに動き回っており低速の巡航ミサイルでは狙えない。
中国抑止は空想でしかない。南西侵攻の抑止は空中楼閣である。そもそも中国に侵攻の素振りがない。それを抑止するとの理由づけ自体が珍妙である。
台湾有事を抑止する力もない。中国が台湾回収を決意するのはよほどの状況である。アメリカの参戦はない場合か、あるいは参戦があっても戦う覚悟を決めている。その際に日本の巡航ミサイル攻撃があるかどうかは気にしない。
攻撃対象も攻撃範囲も揺れ動く
攻撃対象も明確にできてはいない。防衛省が陸海空それぞれの自衛隊に巡航ミサイル配備を進めているのは、それを決めかねているからである。
陸軍式に敵上陸部隊の出発港攻撃に使うか、海軍式に潜水艦等に積んで中国後方撹乱に利用するか、空軍式に中国軍用機の地上撃破に用いるか。日本の戦力規模からすればどれか1つに絞る必要があるが、それができていない。
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