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【教えは受け継がれてゆくものだから】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 4~

Japan In-depth / 2015年7月18日 11時1分

神奈川県高野連が開いた同様の野球教室に息子が参加した母親が、教えてくれた。話は10年前にさかのぼる。


「江藤さんには、中学野球で軟式の経験しかない息子が中3の時、"初めての硬式"のための野球指導を受けました。怪我を防ぐ方法も教わりました。シニア出身でもなく、普通に公立高校に進学する球児にとっても、『目標は甲子園!!』と、丁寧でわかりやすく、情熱的な指導でした」


野球教室後、アンケートに記入したところ、丁寧に返事が江藤から届いた。几帳面な文字でハガキにびっしりと書かれていたという。その長男も指導者に恵まれ、大学まで野球を、最後は学生コーチとして続けた。高校野球の指導者になりたいと教員を目指したが、現在は、大学院でスポーツシステム研究に励んでいる。


母は続ける。


「私もはるか昔、高校野球に燃え、マネージャーになりたかったんです。当時は女子マネを取ってくれない高校だったので無念でした。そのかわり、大学4年間で、やっと夢が叶い、硬式野球部のマネージャーをすることが出来ました」
その長男から母へ。高校野球、最後の夏の物語・・・


「息子はホームランを打ったんです。そのボールを私にプレゼントしてくれた時は、泣きました」


夢は、教えは、受け継がれていく。だから、野球は素晴しい。


( 5 につづく。
【“24の瞳”少年・高校球児を指導する男】〜「野球は人生そのもの」江藤省三物語 1~
【誰にでも甲子園はある】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 2~
【教え子の一言に「ふるえた」。】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 3~
も合わせてお読みください)



<江藤省三プロフィール>


野球評論家。元プロ野球選手(巨人・中日)、元慶應義塾大学硬式野球部監督
熊本県山鹿市生まれ。
会社員(父は八幡製鐵勤務)の四人兄弟の三男として誕生。兄(長兄)は元プロ野球選手、野球殿堂入りした愼一氏。
中京商業高校(現中京大中京)で1961年、甲子園春夏連続出場。同年秋季国体優勝。
卒業後、慶應義塾大学文学部に進学、東京六大学野球リーグで3度優勝。4季連続ベストナイン。


63年、全日本選手権大会で日本一となる。
65年、ドラフト元年、読売巨人軍に指名される。
69年、中日に移籍。代打の切り札として活躍。76年引退。
81年、90年から2度巨人一軍内野守備コーチ。


以降、ロッテ、横浜でコーチ歴任。
解説者を経て、2009~13年、慶應義塾大学体育会硬式野球部監督。
10・11年春季連続優勝。
この間、伊藤隼太(阪神)、福谷浩司(中日)、白村明弘(日本ハム)のプロ野球選手を輩出。
14年春季リーグ、病床の竹内秀夫監督の助監督として、6季ぶりに優勝に導く。



※トップ画像:泣き崩れてしばらく立ち上がれなかった背番号8。

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