[田村秀男]【日経のFT買収、日本経済にとってプラスになるのか?】~国際金融市場の代弁紙と同一論調となるリスク~
Japan In-depth / 2015年7月27日 23時0分
日本の財務官僚はそうした国際金融の場を活用し、IMFなどに消費税増税を日本政府に勧告するように仕向けてきた。財務官僚の御用メディア同然の日経は消費税増税キャンペーンを展開する始末だ。FTは13年9月13日付の社説で、消費増税を「挑戦するに値するギャンブル」、「さいは投げられた」として安倍首相の増税決断を先回りして褒め称えた。
こうして国際、国内両面から包囲された安倍晋三首相はさんざん迷った挙げ句、13年9月下旬、翌年4月からの消費税率8%への引き上げに踏み切った。その結果は14年度のマイナス成長であり、15年度も増税による後遺症を引きずっている。
かの中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立や人民元のIMF仮想通貨SDR(特別引き出し権)への組み込みについて、FTは好意的だ。ロンドン市場での人民元国際決済が念頭にあるはずだ。日経はAIIBへの日本の参加を求める。元のSDR通貨化についてもFTと同調するだろう。
日本経済は増税後、再生軌道から外れ、アベノミクスは正念場だ。人民元膨張は中国の軍拡と同時並行だ。日本が成長することよりも、デフレの中で余剰貯蓄が国内で使われず、国際金融市場に流れるほうに関心を向けるFTに日経が同一論調になることは日本にとって災厄だ。対中関係も、ロンドン国際金融市場の利害に影響されるFTと、親中路線の日経が論調で呼応しあえば、中国を喜ばせるだろう。
喜多会長は、FTと「報道の使命、価値観を共有」していると表明したが、日本衰退の道を共有するのはごめんこうむる。
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