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[神津伸子]【その先へ!】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 10(最終回)~

Japan In-depth / 2015年8月4日 18時0分

「だから、若い人たちへの野球指導はやめられない」。

そんな江藤が、最近、毎朝、楽しみにしていることがある。川崎市の自宅近くの公園まで散歩して、ラジオ体操をしている。お楽しみは、そのことではない。その公園内の、体操組の近いところで、小学生の少年が一人で毎朝、ドリブルなどの練習をしている。とても楽しそうにボールを追いかけているので、江藤の方から声をかけて、今は、一緒に練習するのも日課になった。

69歳にして、初めて少年から習うサッカーは、とても新鮮で楽しい。時には、江藤から、少年に課題を与えて、少年がこなす。友だちを連れて来たりして、人数が増えることもある。年を越えて、スポーツを媒介とした楽しい時間が、そこにはある。

「この年になって、また新しいことにチャレンジ出来ることは、本当に幸せだと思う」。そして、まだ野球の楽しさを知らない多くの子供たちにも、この気持ちを、味あわせてやりたいとも。

「ボールは、友だち」と、少年は教えてくれた。

「サッカーも、野球も」。江藤は思っている−。

(最終回。

【“24の瞳”少年・高校球児を指導する男】〜「野球は人生そのもの」江藤省三物語 1~
【誰にでも甲子園はある】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 2~
【教え子の一言に「ふるえた」。】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 3~
【教えは受け継がれてゆくものだから】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 4~
【甲子園春夏出場 父・兄の背中を見て始めた野球】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 5~
【輝く時 慶應義塾大学野球部選手時代】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 6~
【代打の切り札 勝利を呼ぶ男】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語  7~
【スコアラー経験が人生を変えた】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 8~
【嬉しかった王さんからの電話】~「野球は人生そのもの」江藤省三物語 9~
も合わせてお読みください)

 

<江藤省三プロフィール>

野球評論家。元プロ野球選手(巨人・中日)、元慶應義塾大学硬式野球部監督熊本県山鹿市生まれ。
会社員(父は八幡製鐵勤務)の四人兄弟の三男として誕生。兄(長兄)は元プロ野球選手、野球殿堂入りした愼一氏。
中京商業高校(現中京大中京)で1961年、甲子園春夏連続出場。同年秋季国体優勝。
卒業後、慶應義塾大学文学部に進学、東京六大学野球リーグで3度優勝。4季連続ベストナイン。

63年、全日本選手権大会で日本一となる。
65年、ドラフト元年、読売巨人軍に指名される。
69年、中日に移籍。代打の切り札として活躍。76年引退。
81年、90年から2度巨人一軍内野守備コーチ。

以降、ロッテ、横浜でコーチ歴任。
解説者を経て、2009~13年、慶應義塾大学体育会硬式野球部監督。
10・11年春季連続優勝。
この間、伊藤隼太(阪神)、福谷浩司(中日)、白村明弘(日本ハム)のプロ野球選手を輩出。
14年春季リーグ、病床の竹内秀夫監督の助監督として、6季ぶりに優勝に導く。

 

※トップ画像:ベンチでの江藤監督。グレーの慶應の伝統のユニフォームが良く似合う。

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