[遠藤功治]【米の厳しいNOx規制が引き金】~VWディーゼル車排ガス規制不正問題 2~
Japan In-depth / 2015年10月1日 0時4分
2、全ての始まりは米国
VW、今年1-6月でトヨタ自動車を販売台数で抜き世界1位、ゴルフ・ビートル・ポロ・パサートと、日本でも人気車種が多く、きびきびしたハンドリングと軽快な走りで永らく輸入車で販売トップ、中国では日本車各社に大きな差をつけ断トツで販売首位、先日辞任した前名物社長のウインターコーン氏は、2018年までにトヨタ自動車を抜いて、世界販売台数で最大の自動車メーカーになることを目標に全力を傾けました。
その達成のため、マルチブランドでの拡販(Audi・Seat・Skoda・Lamborghini・Bentley・Bugatti等)、世界最大市場である中国での販売台数の大幅積み上げ、ディーゼル車を中心とした環境性能技術のアピール、そして、中国に次ぐ世界第2位の市場である米国での販売増など、積極的な拡販を実施しました。
モノづくりでは、モジュールツールキット(MQB)という戦略を導入、現在トヨタが実施しようとしているTNGA(Toyota New Global Architecture)、日産が既にルノーと実践しているCMF(Common Module Family)の先駆けとも言える開発・生産方法を生み出しました。これによりコストを削減、開発期間を短縮化するというもので、世界的に高評価を得ていました。
この戦略は成功しつつありました。Audiは高級車部門で躍進を続け、VWの中国販売は断トツのシェア1位、ハイブリッド車に対抗したディーゼル車のアピールにも成功、結果として今年1~6月で初めてトヨタを販売台数で抜いた訳です。ところが唯一、誤算が生じたのが、米国での販売不振です。トヨタに追いつき追い越し、環境面でも車のパフォーマンスでも、名実ともに世界一になるには、米国市場での大幅な台数上積みが必要でした。
実際、ビートル、その後ゴルフ(ラビットと改称された時期もある)で、1960年代から80年代にかけて、一度は米国で大成功したVWですが、その後日本車に席巻され、米国生産から撤退、その後また米国に再上陸、2011年にはようやくテネシー工場でのパサートの生産にこぎつけたばかりでした。
ところがこのパサートが売れない。今年1-8月でカムリやアコードが20万台を軽く販売する市場に於いて、パサートは5万台そこそこの販売台数。VWブランド全体でも昨年は10%減でシェアは僅か2.2%、今年も1-8月累計で2.8%減と、減少傾向が続いています。米国全体の自動車市場が、今年は10年振りの活況に沸き、大半のブランドが販売を伸ばしている中、VWの販売だけが不振のままという状況でした。
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