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[渋谷真紀子]【日系人収容所の物語、ブロードウェイ進出】~GAMAN(がまん)精神で平和で平等な社会へ~

Japan In-depth / 2015年10月5日 18時0分

[渋谷真紀子]【日系人収容所の物語、ブロードウェイ進出】~GAMAN(がまん)精神で平和で平等な社会へ~


1941年12月7日(日本時間12月8日)真珠湾攻撃は、当時の日本の運命を変える大きな史実ですが、その裏で、当時アメリカに住んでいた日系アメリカ人の生活も一変させました。翌年には、当時の敵国日本への不信感から、アメリカ西海岸に住む日本人移民と日系人約12万人は収容所暮らしを強いられることになったのです。

所有していた土地・家・財産・仕事が全てアメリカ政府に没収されたにも関わらず、収容所から出る際に渡されたのはバスチケットと25ドルのみで、戦後も日系人への差別も厳しかったといいます。このアメリカの歴史の一部は、今までほとんど語られることがなく、アメリカ人でも知らない人もいます。戦後70年ですが、アメリカ政府が正式に謝罪したのは1988年、補償金の配布が始まったのは1990年、今年になって収容伝承のため、国立公園局は全米の強制収容所管理団体や大学に助成金配布が決定される等、ようやくアメリカの歴史として表に出てきているのです。

そして今回、実際に収容所暮らしをした日系アメリカ人俳優ジョージ・タケイさんの経験をもとに創られた新作ミュージカル「Allegiance(アリージェンス:忠誠」が、10月6日プレビュー公演開始、11月8日に公開になります。私は演出部の研修生(全米演出家振付師組合基金より派遣)として携わっています。

新・ブロードウェイミュージカル「アリージェンス」

ジョージさんは、戦後も厳しかった差別を乗り越えて日系人俳優として成功し、ついに78歳で自らの経験から生まれた話でブロードウェー・デビューします。彼が戦ってきた人権問題、現在も続く異質差別(肌の色や祖先のルーツ、ジェンダーアイデンティティが異なることにより受ける差別)が緩和され、アメリカがどんな人にも自由で平等な社会になる為に、「気づき」を与える作品にしたいと多くのクリエイティブ・チームのメンバーも含め制作しています。更に、この作品は伝説のアジア人ブロードウェー・スターのレア・サロンガのブロードウェイ復活作品としても話題となり、チケット販売も好調です。

ストーリーは、主に日系アメリカ人で構成された第442連隊戦闘団の兵士として活躍した主人公サム・キムラ(現在:ジョージ・タケイ、過去:テリー・リアン)と、母親代わりに彼を育てた姉ケイ・キムラ(レア・サロンガ)を中心に描かれた、戦争によって引き裂かれた家族の物語です。

母国アメリカに忠誠を誓い戦い抜く主人公サムと、日本人移民でアメリカ政府の忠誠登録を拒否した父親、逮捕された両親が解放されるまで軍隊入隊を拒否したケイの恋人、家族や愛する人を奪われ家族が元に戻るまで事実を伝え続けるケイ。選んだ道の違いから誤解が生まれ疎遠になってしまった姉と弟が、戦後50年の時を経て和解していくのです。

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