【女性のがん対策の鍵:低検診率改善】~地方と国の連携が不可欠~
Japan In-depth / 2015年10月20日 15時46分
女性が輝く社会を目指す安倍政権。しかし、女性の健康の実態は楽観できるものではない。国民の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなるというこの国において、乳がんについては死亡率が横ばいとなっているものの、子宮頸がんは死亡率が増加傾向にあるという予測が出た。(注1)その原因の一つに、検診の受診率が低いことが上げられている。
そうした中、19日、「第1回地域と国をつなぐ 乳がんと子宮頸がんの検診促進全国大会」が東京・虎ノ門で開催され、国会議員15人と地方議員146人ら200人近い人が集まった。
厚生労働省健康局がん対策・健康増進課がん対策推進官 秋月玲子氏は、欧米では乳がん、子宮頸がん共に死亡率が下がっているのに、日本は上がっている実態を紹介。理由は明快で前述の低い検診率なのだが、調査によると、検診を受けない理由の第一位は「時間がない」だったというから何をかいわんやだ。
対策として秋月氏は、市町村が継続的に実施可能な個別受診勧奨を徹底することや、市町村が検診の受診率などを公表すること、未受診者への再勧奨を行うことなどを上げた。自治体がやるべきことは見えている。
その後行われた最初の講演「乳がんの基礎とがん検診の在り方」で認定NPO法人乳房健康研究会理事長 福田護氏(注2)は、働き盛りに乳がんが多いことを指摘、働く女性の生活環境を改善しなくてはならない、と述べた。その上で、会場に出席している超党派議員に、乳がん検診受診と情報発信を強く求めた。12人に1人が乳がんになる日本人女性。年間罹患数9万人、死亡数は1.4万人という数字は衝撃的だ。多くの人が共有すべきだろう。
また、福田氏はある乳がん患者とかかわっていく中で医療従事者とて自分も多くの学びを得た経験を紹介。「人として共に成長できる継続的対話医療の重要性」を説いた。その患者は編集者であり、亡くなるまで自分の仕事を全うし、福田氏は医師として彼女の仕事やボランティア活動をサポートし続けたという。
そうした経験から福田氏は、主治医と患者との関係を超えた“Narrative Based Medicine (ナラティブ・ベイスト・メディスン)”の必要性を説いた。つまり、「物語(ナラティブ)と対話に基づく医療」である。医療従事者が、患者の語る様々な「想い=物語」を聞き、その上で病気や治療方法について情報を共有し、患者の抱える精神的な悩みや社会的立場、仕事への思い、などあらゆる要素を把握して、双方が満足する治療方法を考えることを言う。
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