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[Japan In-depthチャンネルニコ生公式放送リポート]【子宮頚がん問題~報道の在り方を考える~】〜医師・医療ジャーナリストの村中璃子氏に聞く〜

Japan In-depth / 2015年11月20日 19時0分

ワクチン接種後に重篤な症状を訴える患者の多くは部長やキャプテン、生徒会長などの活発な女の子である。「もちろん、その子たちの全員が心身症ではないだろうが、期待に応えなければと頑張っている思春期の女の子は特に心身症になりやすいというのが、小児科医の共通意見である」と村中氏は指摘した。症状の引き金になるきっかけは、恐怖、痛み、プレッシャーなど人様々だという。

子宮頸がんワクチンの副反応は、メディアにより大々的に報道された。この点に関して村中氏は、「一般の読者や視聴者は、メディアは情報を正しく伝えてくれるものと思っているが、実際には元データを科学的に検証できていないことが多い。特に映像メディアは、映像が撮れたら報道するという傾向があり、映像に撮れた患者を『ワクチンによる被害者』だとする専門家ばかりを取り上げる」と報道の問題を指摘した。

ヒトパピローマウイルス(HPV)は咽頭癌・肛門癌の原因にもなっている。そのため、オーストラリアでは男性にもワクチンの定期接種を開始した。つまり、今回問題になったワクチンは、女性だけに関わらず、男性も意識しなければいけないトピックということだ。「ウイルスは皮膚などに常在しており、 HIVとは違ってコンドームで防げるものではない」と村中氏は指摘した。

医療機関によって異なるが、ワクチン接種の値段は1本1.6万から2.5万円と高く、視聴者アンケートでも値段を理由に接種をためらう声が大きかった。しかし、村中氏は「ワクチンには個人の予防だけでなく、『集団免疫』という概念がある。約6割以上の人が打つと予防効果が劇的に上がることが知られている」と一定程度のワクチン接種率を保つことの重要性を訴えた。

また村中氏は、「20代は打ってももう意味がないのでは」という視聴者の疑問に対し、「ワクチンは複数のウイルス型に対して効果を持つ。たとえそのうちの一つに既に感染していたとしても、ワクチンを接種することによってその他のウイルス感染を防ぐことができる」と答えた。

ワクチンを接種するべきかどうかの判断をするためにはどのような情報が必要なのか。村中氏は「リスクとベネフィットに関する信頼できる情報を得てほしい。メディアで取り上げられている子宮頸がんワクチンに否定的な専門家は全体のごく一部であり、国内外の専門家の9割9分はデータに基づきワクチンを危険だとする説を否定している。それでも、たとえば偽発作のような心身の反応が起きるリスクが、自分にとってはがんになるリスクよりも深刻だと考えるのであれば、接種しないという選択肢もあっていいと思う。ただし副反応が生じた場合でも、接種者の家族が医者や医療機関への信頼のもと、慌てずにどっしりと構えていると100%回復するという医師がたくさんいる」と述べた。

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