日本の空母保有は現実的か?~マンガ「空母いぶき」のリアリティ その3~
Japan In-depth / 2015年11月25日 18時0分
「いぶき」が早期警戒機として採用するならば、現実的な案としては英海軍が新型空母「クイーン・エリザベス」ように採用した航空機搭載型早期警戒(AEW)システム、「CERBERUS」を採用することだろう。これは英海軍が運用するAW101「マーリン」HM.2ヘリコプターに搭載するもので、ロールオン・ロールオフタイプのために汎用ヘリを利用することができる。海自の運用している掃海・輸送ヘリ、MCH-101はこの派生型で、「CERBERUS」の運用が可能だ。
「CERBERUS」は吊り下げ式のドームに収容された機械式パルスドップラー・レーダーとミッションシステムから構成されている。レーダーは対空(ルックアップ・ルックダウン)のほか、地上の移動目標探知モード、地上監視モード、沿岸監視モードなど多様なモードを備えており、同時に3つの異なるモードの運用が可能となっている。
ミッションシステムは優れたデータリンク機能を持ち、秘匿化されたデータリンクを用いることで、部隊内へのレーダー情報の送信や、リレー通信も可能となっている。またESM、IFF、AISといった他のセンサー情報と、レーダーが得た情報を統合して整理する能力も備えており、ミッションオペレーターの負担も軽減する。
早期警戒用として「CERBERUS」を採用するならば訓練用も含めて4~5数セットは必要だろう。また相応のヘリも必要だ。海自では現用のUH-60Jの後継として、いずもなどに搭載する現在輸送や救難を目的とした新型ヘリ(UH-X)の調達を行う予定だ。その候補としてアグスタ・ウエストランドのAW101と海自が運用している三菱重工が生産している対潜ヘリSH-60Kや既存のUH-60Jをベースにした汎用ヘリが候補に上がっているが、後者は機体が小さすぎ、またランプドアが無いために「CERBERUS」の運用ができない。
実際問題として現在の海自の護衛艦隊も早期警戒機は必要だ。その点を考慮するならばAW101を採用すべきだ。早期警戒機として使用が可能であるだけではなく、輸送量が大きく、ランプドアを有しており、大きな貨物も輸送できる。更に機体としては既存のMCH-101と同じであり、MCH-101シリーズとして機体の分母を増やすことになり、機体の稼働率や整備、訓練が効率化できる。また救難にしてもSH-60KやUH-60Jは機材を搭載すると1~2名しか救助できないので、乗員が多いP-1哨戒機などが墜落した場合には事実上対処できない。だが、海幕内では三菱重工への配慮のためかSH-60KあるいはUH-60Jの改良型が有力のようだ。
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