[Japan In-depth 編集部]【テレビ、新聞が失った真のジャーナリズムへの挑戦】~Japan In-depth創刊2周年記念シンポジウム~
Japan In-depth / 2015年11月29日 18時0分
「Japan In-depth」の創刊2周年を記念したシンポジウムが、11月26日、東京・千代田区の日本記者クラブで開催された。
この日、まず壇上に立ったのが、ソニーの元社長でクオンタムリープ株式会社代表取締役 ファウンダー&CEOの出井伸之氏。インターネットの登場からの様々な社会の変化をあげ、10年後の将来に向けても、高機能のスマートフォンとインターネット、そして人工知能の融合で更に大きな変化が生じると展望を述べた。その一方で、ネットがメディアを劣化させている側面も指摘し、価値のあるメディアにするためには求心力を高めることが必要とした。その上で出井氏は、「メディアの力が弱まると、日本は何も起こらない国になる」と問題提起した。
続いて行われたパネルディスカッションには、講談社第一事業戦略部長兼現代ビジネスGMの瀬尾傑氏、ハフィントンポスト日本版編集長の高橋浩祐氏、NewsPicks編集長の佐々木紀彦氏、Wedge編集長の大江紀洋氏が参加。安倍編集長がモデレーターを務め、ネットメディアの今と今後の見通しについて迫った。
まず、2015年を「大きな変革の年だった。」と、講談社の瀬尾氏。70年ぶりに社内から「編集局」が廃止され、編集系のセクションはコンテンツ毎に細分化された。書籍や雑誌の編集作業だけでなく、どのように読者に届けるか、その戦略や関連事業などを一つの部署が手がける流れは、既存の出版システムを変えるもので、その背景にはネットの発達など環境の変化が大いに関係している。
一方、ハフィントンポストの高橋氏は、この1年を振り返って「LGBTや新国立競技場問題などを市民目線で報道し、リベラルメディアとしてキャラが立ってきた。」と自信をのぞかせた。
そうした中、NewsPicksの佐々木氏は、今年の動きとして、「伝統メディアから優秀な人材がネットに出始めている」と語った。日本版BuzzFeedの創刊編集長に朝日新聞の元記者・古田大輔氏が就任すると報じられたことも記憶に新しい。
ディスカッションの中で各氏が言及したのが、ネット記事の「質」の向上についてだ。Wedgeの大江氏は、紙媒体の雑誌Wedgeとは違うパワーをWebマガジン “WEDGE Infinity”から感じるとする一方で、「ステマ、コピペだらけのネット記事の中で、どこに良い情報があるのか、それを見つけることに時間をかけられるだろうか?」と疑問を呈した。これからのネットメディアは、現場取材や編集にどれだけお金をかけていけるかという点も重要だとした。
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