日本企業はグローバル化出来るのか? その2~入交昭一郎氏インタビュー~
Japan In-depth / 2015年12月19日 11時0分
「企業のグローバル化」が叫ばれて久しい。日本企業が直面している課題、グローバル化を進めるために必要なことは一体何か。米国ホンダ、セガを率いた入交昭一郎氏(有限会社入交昭一郎 代表取締役)に、Japan In-depth編集長安倍宏行とフライシュマンヒラードジャパン社長の田中慎一氏が聞いた。
-(安倍)現在の日本企業が直面するグローバル化はどのようなものか?
1970-80年代のグローバライゼーションは、貿易摩擦のプレッシャーなどがあり、日本の製造業は外へ出て行かざるを得ないという状況だった。必ずしも喜んで行ったというわけではなく、そのときは基本的に「出来るだけ周りにご迷惑をかけずにビジネスをやらせて頂く」というマインドだった。それから40年経ち、進出した日本企業は数倍の規模になり、各々の国の中でそれなりのポジションを占める力を持つようになった。それゆえ、周りに迷惑を掛けないようにひっそりやるというのは難しくなり、貢献も発言もしなければならなくなっていると思う。
さらに輪をかけて、グローバルな環境の中でどうやって競争力をつけるかを考えると、単独では出来ないことも出てくるので、日本企業だけではなく他国の企業ともアライアンスや合弁をする必要が出てくる。そのため、積極的に企業や地域社会などを味方に取り込む必要が出てきているのが現状だ。
-(田中)積極的に周囲を巻き込み、攻めのグローバル経営をしていると言える日本企業は具体的にどこがあるか?
実際はまだあまり無いのではないか。何か問題に直面した際に新しく行動を起こすことはあっても、普段から意識して実行できているところはまだないと思う。何かクライシスが起こるなど痛い思いをして気付くことが無ければ、新しいことを実行に移せないということが、日本企業が乗り越えなければいけない課題だと思う。
-安倍)団塊世代が引退して世代交代しているとはいえ、日本企業は経営層の年齢が高く、新しい経営スタイルに挑戦するのが難しいのではないか?
必ずしも若ければいいという訳ではないと思う。今の若い人たちは快適で住みやすい日本の現状に満足しており、新しいことをする必要性を実感していないと感じる。外に出て行動する必要性を実感しない限り行動を起こせないと思う。
かつてのホンダのグローバル化は、日本がアメリカに戦争に負けて、戦後海外に強烈な憧れを抱いていた世代が牽引していた。その世代が何が何でもアメリカやヨーロッパから学んで、新しいことを取り入れようというモチベーションを持っていた。今の50代の経営者も確かに優れていると思うが、遮二無二前進しようというエネルギーが少ないようにも感じる。
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