[遠藤功治]【ZMP上場前夜、自動運転元年 その2】~特集「2016年を占う!」自動車業界~
Japan In-depth / 2015年12月28日 18時0分
−ZMPという会社
ZMPに戻ります。ZMPというのは、谷口さんという若いエンジニアが設立したロボット技術を得意とするVCです。株式市場の噂では、2016年初頭には上場するということです。会社名のZMPとは、“Zero Moment Point”の略だそうです。何かというと、直立してバランスが取れている人間が、一歩前に進もうとする、その重心移動が起こる直前の状態を指すのだそうです。まさにこれからの完全自動運転に移行していく、その第一歩が始まる直前の状況ということでしょう。
その谷口社長、2015年11月、安倍首相を囲んだ官民対話の席に、トヨタ自動車の豊田社長や、以前筆者がここでご紹介した、セーレンの川田会長と共に呼ばれ、今後の戦略について話をされました。会社が完全自動運転に向かって進んでいること、2020年までに完全自動運転のタクシーを全国で3,000台走らせること、そのために政府に法規制などの変更を含む、戦略的なバックアップを要請しています。
これに対しての安倍首相のリアクションは“Go ahead”、即ち、自動運転というのは国家戦略、国策であるということです。ZMPという会社、この自動運転の波に乗り、究極の完全自動運転を狙うと共に、“Robot for everything”を標榜、今後、ロボット技術を核にして、様々な新しいビジネスに踏み込んでいく、完全自動運転車しかり、ドローンしかり、物流支援ロボットや、心臓モニタリングなどの医療分野しかり、目指す売上高は、現状の数十億円から、2017年に100億円、2020年までに1,000億円と、加速度的な飛躍を見込んでいます。
上場後の時価総額も、市場の噂ベースでは2,000億円超えなどという、通常では考えられないような拡大ペースが語られています。やはり、安倍政権が進める戦略特区、国策の領域に含まれる分野であることが、上場前にも拘わらず、投資心理に火をつけている最大の理由でしょう。
実は自動運転技術に関して言えば、欧州・米国がいち早く動いていました。米国ではGoogleが、欧州ではドイツを中心としたIoT(Internet of Thigs)、第4次産業革命のもと、DaimlerやBMW、VWが、着々と布石を打っていました。
AI(Artificial Intelligence、及びAfter Internet)やBig Data、Connected Carなど、次から次に新技術が革新的に出現、その中心では米国とドイツが着々と技術を磨いていた訳です。遅ればせながらようやく日本でも、SIP(Strategic Innovation Program)という自動運転の研究会が発足、政府と自動車業界による共同開発が始まった訳です。
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