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補正予算が第2の防衛予算に~政権批判しない野党とメディア~

Japan In-depth / 2016年1月25日 7時0分

補正予算が第2の防衛予算に~政権批判しない野党とメディア~

清谷信一(軍事ジャーナリスト)


先の東日本大震災以来、次年度の国家予算と、当年度の補正予算が一体化している。これは震災やリーマン・ショックで落ち込んだ需要を官費で刺激してGDPをふくらませるためのものだろう。だが、これでは本来の予算の総額が分からない。

夏の終わりに公表される次年度の概算要求は財務省と折衝して、政府案予算となる、だが概算要求より大抵は減額される。その段階で落とされたものが、当年度の補正予算で要求されているのだ。これは本来の補正予算の使い方から逸脱している。

本来政府予算における補正予算とは、当初予算(本予算)成立後に発生した事由によって、当初予算通りの執行が困難になった時に、追加的に組まれる予算である。なお、財政法第29条で以下の場合に補正予算を編成できると規定されている。

 

1. 法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合。

2. 予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合。

 

補正予算は英語では、supplementary budgetだ。つまり追加の予算というわけで、この方が補正予算の性格をよく表している。

安倍政権は自ら掲げたGDP600兆円へ向けて、補正予算の本来のあり方を歪めている。GDPを膨らせるために、政府予算の相当分を本年度の補正予算に押しこむことで予算額を小さく見せかけ、財政によるバラマキのために補正予算を利用しているのだ。

防衛費を例に取ろう。先に成立した防衛の補正予算では以下の様な「お買い物」が要求されていた。

 

・航空機(OP-3C・EP-3)搭載電子機器部品等の調達等

・情報収集体制の整備

・その他、「テロ対応のための経費として41億円(戦闘装着セット、個人用装備品等の調達)を含む」

・CH-47JA、UH-60JA、UH-60Jの整備

・救難飛行艇(US-2)[1機] の調達

・軽装甲機動車[38両]、NBC偵察車[1両]、96式装輪装甲車[8両] の調達

・厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐に伴う施設整備

・キャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)の返還に伴う物件撤去等

・嘉手納飛行場における海軍駐機場の移転に伴う施設整備

 

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