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日本企業はグローバル化できるのか? その3 産業革新機構 志賀俊之 代表取締役会長

Japan In-depth / 2016年2月15日 9時51分

例えばノキアの自動運転に必要な3Dの地図の会社HEREをVWとBMWとダイムラーが3000億円で買った。日本はどうしているかというと、それぞれ地図を作っている。日本は相変わらず全部自分たちでやる自前主義である。要するにオープンイノベーションが出来ない。これではグローバルの戦いにおいて先が見えている。

-(安倍)なぜその「自前主義」を克服出来ないのか?

経営層は、オープンイノベーションについて理解している、しかし実際開発の現場に行くと俺たちのほうがいい物が作れると主張しはじめて、抵抗勢力になる。要するに自分たちが開発してないものは技術じゃないという徹底した自前主義だ。

失われた20年で3つの事が起きたと思う。まず経営者がリスクをとらなくなったということ。2つ目は横並びで同じような研究を皆でやっているということ。3つ目が自前主義だ。つまり「日本で、自分たちでやる」というのが全てのスタートラインになっている。それがある種ジャパンコーポレーションの美徳のようになってしまっていることが、グローバル化を妨げている。

更に日本の企業の利益率が低いことも問題で、その要因は、一言でいうと超過当競争だ。つまり1つの業界にプレイヤーが多すぎる。自動車会社も国内に8社あるが、世界を見るとアメリカに3社、ドイツに3社でフランスに2社でイタリアに2社という具合だ。

ではなぜ業界再編が起こらないか。アメリカの会社は、常に不採算の事業を売却したり、あるいはその成長性の少ない事業を売却したりするのが通常だ。GE(ゼネラル・エレクトリック)がいい例で、あのエジソンが始めた家電事業まで、中国のハイアールに売ってしまった。

日本では、創業来の事業などについては、「これは会長が絶対残せと仰っています。」とか言って抱え込んでしまう。経営が悪化した時にも、従業員の雇用を守り、地域の安定に寄与しているということを美徳にして無理に持ちこたえようとする。この日本的経営というのが、グローバル化の足かせになっている。例えば、真のグローバル化を進めようとすると、別に日本が経営する必要はなくて、海外の会社に売ったって良い。そうすると販路があるからグローバル化が進む。

日産自動車で言えば、今から16年前、倒産寸前になった際に、フランスのルノーが出資し、株式の43.4%を保有する筆頭株主となった。日産自動車は日本企業のまま生き残り、今ではおそらく日本企業の中で人材のグローバル化も含めて、最もグローバル化しているのではないか。

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