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日本企業はグローバル化できるのか? その3 産業革新機構 志賀俊之 代表取締役会長

Japan In-depth / 2016年2月15日 9時51分

そのルノーは日産の持ち株比率を50%超にしていない。自動車業界では類を見ない資本の論理で相手を飲み込まない、“アライアンス”という経営形態を取っている。志賀氏はこうした企業提携の在り方はもっと注目されてもいいのではないか、と常々言っている。

去年フランス政府は、2年以上保有する株主に2倍の議決権を与える「フロランジュ法」を適用し、仏政府のルノー議決権を高めてその経営に対する影響力を強めようとした。しかし、結局、日産は、ルノーも仏政府も介入しないとの確約を得て、独立を守った。今回の騒動を奇貨として、日産・ルノーの関係は更に深化したとも見える。

この特異な日産・ルノー連合は、ダイムラーとも戦略的協力関係にあり、今後世界の自動車再編の波の中でどう存在感を示せるか期待される。海外の企業を買収し飲み込む従来型のグローバル化は、日本人がグローバル化していない中、うまくいかない可能性が高い。そうした中、日産・ルノー連合のように、株を持ち合いながら、兄弟のようにお互いの企業文化に尊敬の念を示しつつ、緩やかで合理的な提携関係を築くグローバル経営は、日本企業が取るべきグローバル化の一つの在り方として後年評価されることになるかもしれない。

一方、志賀氏はベンチャーが育たない日本の風土について分析して見せたが、もともと産業革新機構の目的に、大企業の中にあるベンチャーの種を大きく育てたい、というものがあった。現在の産業革新機構はシャープなど経営不振に陥った大企業の持つ技術を海外に流出させないために、同様な技術を持つ他企業との再編を後押しすることに注力しているように見える。

しかし、氏がまさしく指摘したように、小さくてもきらりと光る技術を持っているベンチャーを育てる環境が今の日本にはない。そうした企業をどう見つけ、どう育てていくのか、具他的方策について言及はなかった。ベンチャーキャピタルもエンゼル投資家も少ない日本において、シリコンバレーのようなベンチャー育成のダイナミズムをどう日本に生み出すのか、まだ解は見えない。

トップ画像:ⓒJapan In-depth 編集部

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