日本企業はグローバル化できるのか? その3 産業革新機構 志賀俊之 代表取締役会長
Japan In-depth / 2016年2月15日 9時51分
グローバル化の為には経営者自身が、従来の経営のスタンスを変えていかなくてはならない。経済同友会の小林代表幹事が就任の時に語った「経営者自身が内なる岩盤を打ち砕かないと日本企業の真のグローバル化は進みません。」という言葉に共感している。
-(安倍)2025年までの10年、AIの進化も著しい。日本企業にグローバル化のチャンスがあるのか?どうすれば日本企業に希望を持てるか?
アメリカの場合だと、「良い技術じゃないか。」とベンチャーの技術を大企業が購入することが多いが、日本では大企業は大企業、ベンチャーはベンチャーという風に完全に棲み分けされていて、「ベンチャーを育てていかなくてはならない。」と皆言うが、本当にベンチャーの技術を買っているかというと、クエスチョンである。そればかりか、ベンチャーと同じような研究を始め、結局ベンチャー潰しになっているという実態がある。だから、日本はその発想を変えていかないといけない。
そして最大の懸念は、いわゆる格差問題である。これは私の実感として、例えば日産自動車と1次、2次、3次、下請け、販売会社の従業員の平均賃金の格差というのは、かつては今ほど大きくなかった。この格差が生まれてきた理由は、中小企業の生産性が悪くなっているという生産性の差だ。
第三次産業革命では、高価なロボットなど設備投資が出来た企業と出来ない企業に分かれた。第四次産業革命が始まって、中小企業や零細企業が使いやすいAIや3Dプリンターを導入することで競争力が上がり、企業が生き残っていけるかというのが、日本の正念場だと思う。
-(安倍)産業革新機構は日本企業をどのようにサポートしていくのか?
スローガンは、「イノベーションを通じて、国の富を増やす」。業界再編と革新的な成長に投資していく。今のままでは、日本はプレイヤーが多すぎて、海外に行ったり、廃業したりしている。それでは結果的に日本に何か残るのだろうか。戦える企業を育てていくというのが、産業革新機構の重要な役目だろうと思っている。
【インタビューを終えて 編集長安倍宏行】
私が日産自動車を辞したのが1992年。経営企画部門にいたので、会社の苦境はわかっていた。それ以前から、私のいた部門の若手はトップが一向にリストラをやらないのを歯がゆく見ていた。気づいたときは有利子負債2兆円、資本を注入してくれる相手を探したが時すでに遅し。サンタナという車種を日本で生産・販売していた関係のVWですらそっぽを向き、比較的近しかったFordを含め、どの自動車メーカーもドロ船の日産を助けようとはしなかった。手を挙げたのは唯一ルノーだけだったのだ。
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