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「勝つのが仕事」先駆者が語る(下)プロ野球選手のセカンドキャリア その5

Japan In-depth / 2016年2月18日 18時0分

「勝つのが仕事」先駆者が語る(下)プロ野球選手のセカンドキャリア その5


神津伸子(ジャーナリスト・元産経新聞記者)


−フィールドは選ばない

プロ野球はもちろん、ビジネスの世界でも「勝つのが仕事」だと、男は言う。

勝ち続けた阿野鉱二(67)が、その体験をもとに、これから新たな人生を歩き始める若者に、様々なアドバイズを送る。ビジネスも、チームワーク。

そして各自、「プロたれ」と。

「様々な、ビジネスシーン、ジャンルでプロ野球を卒業した若い人たちが活躍することは素晴しい」とも。

−人としてプロ・一流になるには

67年間、プロ野球選手として、そしてビジネスマンとして走り続けて来た阿野の自らに体験から来る人生哲学のほんの一部をご紹介する。

 

<プロの条件>
1、人一倍の努力を惜しまない。常にレベルアップを目指す。
2、結果を出す。
3、客(ファン)を大事にする。
4、挨拶など基本的なことが出来る人格者になる。人間性を磨く。
5、共感者を増やす。

 

「例えば」と、阿野は振り返る。

「王貞治さんは、レストランなどで食事をすると、必ずレジ係の人たちなどにきちんと『ごちそうさま』と声をかけ、厨房に顔を出して『美味しい料理をありがとう』と、礼を言う。試合の審判が遠くから来ていると知れば『今日はわざわざ遠くから来られて、本当にご苦労様です』と、必ず声をかけられるのです」

この当たり前のことが、なかなか出来そうで、出来ないものだと。

また、「王さんは人前で、決して『しんどい』と、言わなかった」。



阿野自身も、現場に足を運べば、必ず自分のところが契約している職人だけではなく、他の会社の大勢の職人にも「火花が落ちますよ」「危ないですよ、注意してくださいね」「お疲れさまです」などと声をかける“一声運動”を欠かさない。阿野の会社スチールエンジは床版の工事を請け負うので、建築中のビルの階上が現場になる。階下の職人には、大いに気を使う。そして、何より言葉にすることが重要だ。

 

<一流選手・人間が心がけていることとは>
1、基本を完全にマスターする。
2、没頭して、夢中になる。
3、常にベストコンディションでのぞむ。
4、集中力を発揮する。
5、苦手を作らない。
6、けがや病気をしない。

 

「没頭して、一生懸命になっているビジネスマンもスポーツマンの姿は美しい。選ばれた人間だけではなく、誰にでも出来ることだ。その仕事が好きだからこそ、夢中になる」

また、職種が変わったら、自分が所属する組織の伝統や歴史をしっかり学び、そこに属する誇りを持つことが大事と。その組織に相応しい姿勢が必要だと。巨人の藤田元司元監督は「私生活も、プロの立ち居振る舞いをしろ」と言い続けたという。遠征先でもジーパンなどでふらふら出歩くな、など身なり一つからというものだ。その後、原辰徳前監督などにも、その伝統はしっかり受け継がれている。

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