アフリカを席巻する中国 その3 搾取の連鎖
Japan In-depth / 2016年2月21日 7時0分
何を食べているのか尋ねたところ、家族一家サツマイモを少々で凌いでいるのだと言う。私の警備員はまだましな方だろう。町から(車を走らせた場合ではあるが)1時間弱程度の、しかも舗装された道路からほど遠くない場所に住み、夜警という定期的な現金収入のある職に就いている。
私が巡回する村の中には、大雨が降ると通れなくなる道や、バイクや車など重い車両が渡っても果たして崩れないのだろうかと不安になる住民手作りの橋などを渡ってしか辿り着けない(迂回路が無い)場所もある。
こういった僻地には、World Food Programme (WFP)などの国際組織が食料の配給に来ており、こんな辺鄙な場所にまでわざわざバイヤーが買い付けに来るとは思えないが、ここでは別の問題が発生している。
Traditional Authority(T/A)と呼ばれる、村長や幾つかの村を束ねた村グループのヘッドの更にその上に立つT/Aが、国際組織との折衝に立ち、食料配給を受けることのできる村人のリストを作成し、配給を受けた村人からトウモロコシの一部をT/Aへ納めさせ、それを転売して利益を得ているとのこと。聞いた話では半分持っていかれるとのことだが、少々誇張している可能性もあるし、実際にその通りであるのかは、判断のしようがない。
私が白人(アフリカでは黄色人種もまとめて白人と呼ばれることが多い)であるし、また政府機関に勤める人間でもあるので大げさに伝えられている可能性はある。いずれにせよ、こういった事実があることに変わりはない。T/Aの腐敗は、度々ローカル紙の紙面にも上がる。腐敗しているのは政府だけではないという事だ。
こうして生まれる閉塞感が頑張っても報われないという空気を作り、国民の能動的な活動を阻み、「マラウイ人は熱心に働かない」と言わしめ、ただ政府への文句を口にするばかりで自ら何か行動を起こそうとはせず、国際組織の援助を待つばかりのような受け身の援助依存の姿勢へとも繋がっていき、個人としての貧困からの脱却もまた国としての発展も更に困難にする。
マラウイで給与を貰える仕事に就いているのは、(病気や障害などの理由で経済活動から外れている人口を除いた内の)わずか14%である。産業を誘致することでこのパイを広げるのか、もしくは11%居る自営業を営む者がビジネスに成功するような支援体制作りに取り組むのかという選択肢が考えられるが、現在マラウイ政府は他のアフリカ諸国と同様に主に前者に力を入れているものの、実現は容易ではない。いずれにしても、「頑張れば報われる」というシステムが必要である。働ける者の内の70%を占める大半は自給のための農作業のみに従事している。*(注1)
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